3-6
浴槽に手を浸して、湯の温度を確かめる。もう少し水を入れて温度を下げるべきだろうか?人であるレティシアがどれぐらいが良いのかはアリアには解らない?
「良いわよレティシア。湯加減を見て頂戴?遠慮しないで言ってね。私は熱いぐらいがちょうど良いから、貴方だと熱すぎる温度かもしれないは。」
水桶を手に湯の温度を調整しながら、
レティシアは湯上りで身体の水を拭き取る大き目の布で、恥ずかし気に隠していたが、アリアに促され手を浴槽に浸す。
「た、多分大丈夫です、、、」
「良かった!じゃ~入っちゃいましょう!!」
アリアはニッコり微笑んで彼女が体に巻いた布を剥ぎ取ると、湯舟へ促す。だが図らずもチラリと見えた彼女の胸の膨らみを、無意識に自身と比較してしまい、アリアは思わずを頬を赤らめた。
湯舟が高い位置にある為レティシアは供えられた踏み台をに足を掛ける。そして獣の頭に手を着いて身体を支えながら、恐る恐る片足を湯に浸していく。足が底に着いた辺りで彼女の動きが一旦止まった。心なしか小さな吐息とその背中が弛緩する様子に、アリアはゾクゾクした。
空腹の時に食べる暖かな食事がどれ程の美味か、それと同じようにレティシアが今、風呂の快楽を味わっている事が判る。
長い行軍で疲れ、汗をかき、垢じみた身体に伝わる暖かさがいま、片足からゆっくりと凝り固まった筋肉をほぐしているはずだ。
アリアは自分でも知らないうちに、人が食べる御馳走を見るように、自身の口を開けていた。
ひとしきり風呂の「初めの一口」を堪能したレティシアは、続けてもう片足を湯舟に入れ、ゆっくりと全身を湯舟に沈めて行く。暖かな水に包まれ、支えられ、全身がほぐされてく。半身が浸かった所で身を捻り、あおむけになって身体を伸ばす、後頭部を獣の頭部に預けた所でレティシアは身体に走る湯の甘美さに吐息を吐いた。
アリアはその様子が辛抱たまらなかったが、グッと堪えて彼女の入浴を手伝った。
人の背中を流すのは初めてだった。これまで傅かれ「してもらう心地よさ」を満喫してきた。自身の経験からおよその手順は知っていたので。まごつく事ほとんど無かった。備品は城に比べれば全く足らないが、およそは何か見当がつく。幸いここには今しがた運び込んだ入浴用品もある。だから、、、
どうせ捨ててしまうのだから、古い物を使い切って新しい物を並べたほうが砦司令官様もお喜びよね、、、
そう考えて悪びれもせづにアリアは備え付けられた香油瓶や植物の実を乾燥させて作った垢すりを準備してゆく。
「ヘラレス!もう少しした、らまたお湯が必要になるは、準備お願いね。」
「はい、畏まりました。ですが奥様、お早く願います。」
カーテンの向こうでヘラレスが返事をする、
「大丈夫よ、
「お、奥様!!」
ヘラレスは泣きそうな声で叫んだ。
老コーボルトの心中を察すると、あまりゆっくりもしていられようだ、アリアは少し残念に思った。こんな贅沢をする機会は次はいつだろうかと、、、
このまま湯舟の中でレティシアの髪を洗い、身体の垢をすり落してしまおう。
湯舟のお湯は汚れてしまうが、どうせ自分が入る時はまた入れ替えるだし。身体を洗ったあ後に流す湯は別の桶に溜めてある。
「髪を洗ってあげるは」
そう言ってアリアは小さな手桶で湯を救ってレティシアの髪を濡らし始めた。
「え!?」
レティシアは何か言おうとしたが、楽し気に支度するアリアに黙って従った。だが胸には不安がよぎる。そんな彼女の表情に気付いたアリアはにっこり微笑んで言った。
「大丈夫、侍女たちにしてもらっていたから大体わかるから、任せて。」
レティシアはその「一言」と「笑顔」に諦め顔になった。
アリアは瓶の中身の匂いを確かめ、適量を手に取る。そして優しく、爪を立てない様に、湯舟に横になるレティシアの頭を洗い始めた。
「気持ちいいでしょ?痒い所は無いかしら?」
指が優しく頭皮の垢を擦る感触に、レティシアが恍惚とした表情を浮かべるのを確かめながら、アリアはあえて尋ねる。
「だ、大丈夫です、、、」
不安げだったレティシアも、今は心地よい頭皮の刺激に酔っていた。アリア自身が声音と表情にゾクリと興奮を覚えた。
アリアは頭を振って気を取り直し、洗った髪をお湯で流した。そして今度は植物を乾燥させ、繊維状にした垢すりを手にする。手で感触、硬さを確かめた後、湯を含ませ、瓶の液体を少量つけて掌で揉んで泡立たせる。
浴槽を操作するよ獣頭の口が開いて湯舟の水量が下がる。湯が半部ぐらいの状態でレティシアの身体を傷つけない様、優しく垢すりで洗っていく。
「あ、、」
アリアが体の垢を擦る感触にレティシアは吐息を漏らす。アリアは初めての手触りに我知らず夢中になっていた。
「そ、そんな、、トコ」
アリアは発見した。
「い、いや、、、げ、ゲラール夫人!」
「く、、くすぐったいです。」
「女の子」の身体は、柔らかくて気持ちいいと。
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