共闘
緊張の高まる中でアリアはゆっくりと
そしてそれを責めるでもなく、かといって雇われたいと願う卑屈な訴えでもない言葉をつづけた。
「お忙しい様なので、これ以上のお手間を頂くのご迷惑でしょうから単刀直入に申し上げます。」
「隊長さん、もう一度だけ考えて下さい。」
「確かに私達は蔑まれる身分の集まり、貴方から見れば護衛には役不足に見えるでしょう。」
「
「でもどうか私達に実力を試される、評価される機会を与えて頂けないでしょうか。」
アリアは見せた実力の一端を声高に叫ばず、相手の面子を配慮しながら要求を伝える。
一見穏やかだに振舞いつつも、うなじの辺りがヒリヒリする感覚をアリアは味わう。多勢に無勢、彼らが一斉に襲い掛かれば自分達に勝機は無い。逃げ切る事は出来るかもしれないが、それによって生じる膨大な時間の浪費を考えると耐えられなかった。
アリアはいつの間にか慇懃な態度を忘れ、内に秘める決意を宣言するように口にした。
「私は前線に行きたいのです、どう機会を与えて下さい!」
停車場は静まり返った。
が、然程間を置かず高笑いが響きわたる。
ひと騒動あったが、輜重隊は大地を真っ赤に染める夕日を浴びながら出発した。
数日前、アリアは駐屯地の
お互い戦力と売り込みに頭を悩ませる弱小
しかも自分と同じ元「竜の血筋」、人の英霊を崇拝し
そして亜人の常識からかなり外れた存在は、アリアの思考へ混乱とある可能性を見せる。その事が彼女に二人に対して強い興味を抱かせた。
結果として市場から軍の仕事を斡旋する「
アリアは素直に共闘を申し入れた、互いの戦力を補い合えば駐屯地と前線で活躍の機会を得る事が出来ると、本心は明かさず、利害の一致と優位性を強調した。
不審がるサール、その彼に共闘の検討勧めたのがレティシアだった。
アリアはなけなしの資金で宿屋で借り、会食を催し友好をしめした。
アリアは自身が親族を同盟者に殺され、牙を失い、裏切った同盟者に追われる身であると、そして今、追ってを打ち払って生き残り、領土を取り戻す強力な郎党を組織する渦中だと割と一般的な元「竜の血筋」末路を事実と虚実を交え身元を語る。
実際に吟遊詩人が物語として語る唄に存在しない訳でも無いが、実際の成功例は「幻」と言って良いほど御目に掛った事が無かった。
アリアは戦力として元より、亜人社会で「堕ちた者」として生き残る事を目的として共闘したいと真摯にサールに訴えた。
この時、サールの態度に彼が異端の崇拝者と言うだけでなく「支配者」と言った立ち振る舞いや、矜持といったものさえ無い事に気付いた。
知り合ったばかりの人物に経歴を深く尋ねはしなかったが、さらに彼等への興味は高まる。
サールは不承不承では在ったがレティシアの口添えで共闘を承諾した。
アリアは安堵共に、ある意味でヘラレスが自身に対して一般的な亜人社会を諭すようにサールが「世間慣れ」していない事も判った。
だからレティシアにヘラレスと同じ
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