夫婦の姿を活写するシリーズ

手、ついてっ!

詫びて、

「枇杷」

って言って!


(てついてつわびてびわつていつて)


【解説】夫婦の会話である。夫は一方的に怒られているが「枇杷」と言って済むのであれば、とりあえずそうしておきたい。




「つみれだよね?」よだれ満つ


(つみれだよねよだれみつ)


【解説】妻が買い物籠からイワシのすり身を出すと、すかさず「つみれだよね?」と、つみれ好きの夫が喜び、口の中はよだれで一杯になっている。




買うよ……、「地底国の音で遠のく恋手帳」か?


(かうよちていこくのおとでとおのくこいてちようか)


【解説】どうしても「地底国の音で遠のく恋手帳 2018」を買ってきてほしいと頼まれていた夫。忘れたふりをしていたが、妻に念を押されて購入に踏み切ったのである。皆さんも、手帳は早めに買いましょう。




いい日陰にまどろみつつ――。

「見ろ!土間に毛が!!」

「ヒイイ!」


(いいひかけにまどろみつつみろどまにけかひいい)


【解説】古民家を改修した宿で憩う若夫婦。いい日陰で妻がウトウトしていると、夫が叫ぶ!「見ろ!土間に毛が!」――それは、忌まわしい悲劇の始まりにすぎなかった……!




カタッ。

「起きてっ!」

「……な?……二時になって来おったか!」


(かたつおきてつなにじになつてきおつたか)


【解説】カタッ。という音に目覚めた妻が怯えるように「起きてっ!」と叫ぶ。夜中の二時になってから何かが来たのである。夫も「な?」と寝ぼけ気味だが、遅い時間になって何かが来たことに驚いている。




「貴方のいた、西の住まいにいますの……」(……死にたいのだなあ)


(あなたのいたにしのすまいにいますのしにたいのたなあ)


【解説】妻からの手紙には「貴方のいた西の住まいにいますの……」と書かれていた。それを読んだ夫は(……死にたいのだなあ)と感じている。この謎めいた手紙の背景には、いったい何があるのだろう?




夜の底に待つわが小川 妻にこそ乗るよ


(よるのそこにまつわがおがわつまにこそのるよ)


【解説】妻を小川に喩えているらしい。

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