第33話
清宮は月並に事情を話した。清宮には明里(あかり)という昔からの親友の女の子がいたこと。その友達と一緒に演劇部に入部したものの部は才能やセンスのあるものばかりを採用して、すぐに活躍できないと判断したものにはチャンスを与えずに雑用ばかり押し付けていたこと。友達の明里はそんな部に嫌気がさして部活を辞めてしまったこと。清宮はこんな事になったのは部長の田畑のせいだと思ったことを言った。
清宮
・・・というわけなんです。
月並
・・・そんなことがあったんだね。
そんな事情だったら田畑先輩に言ってしまうのも無理はないかもね。
清宮
すみません。
話を聞いてもらっちゃって。
月並
いやいや!
そんな話を聞くくらいどうってことないよ。
もっと話をしたいならいくらでも聞くよ。
清宮
・・・ありがとうございます。
月並
そうか・・・親友の明里ちゃんって子が大事だったんだね。
清宮
はい・・・。
月並
清宮ちゃん、大丈夫?
清宮
えっ?
何がですが?
月並
だって今にも泣きそうな顔をしているもの。
清宮
えっ・・・。
私、そんな顔をしていたんですね。
月並
・・・
そして、月並は黙って清宮を抱きしめた。清宮は今にも泣きそうなのを堪えてただただ嗚咽(おえつ)を漏らさないように口をつぐんだ。
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