133冊目 同病嫌悪

 どうも、吾輩です。

 今回は、わりと人道的にひどいこと、汚いことを書きます。

 マジで。

 そういうの見たくない方はバックしてください。

 いやほんとマジで。


 ところどころにぼかしを入れるので、ご了承の上お読みいただきたい。


 昔々、投稿系SNSですっごく好きな作家さんがいた。交流することは吾輩のチキンな思考回路故になかったが、作品がアップされるたびに目を通し、いいねボタン的なものをクリックしていた。


 大好きだった。

 その瞬間までは。


 兆候はあった。

 いままではいつでもまるっと公開していた作品を、「同人サンプル」として一部しか公開しなくなった。同時に、過去作品もサンプル部分以外軒並み非公開になった。

 気にならなかったといったらうそになるが「あー、そっちに行ったのね」と思って、納得したつもりだった。サンプル部分でも読めたらうれしいし、そのうち昔と同じく全文アップしてくれるかも、という希望的観測もあったのだと思う。


 きっかけはその作家さんから発信された「重要なお知らせ」だった。

 要約すると、


・自分は○○という持病があり、普通の仕事には就けないんです。

・だから同人で売り上げを作ることでしか生きていけないんです。

・そのうえ、借金もたくさんあります。

・だから、買ってください。

・カンパしてくれる人には銀行口座を教えるので、いくらでもいいから振り込んでください。


 だいたいこんな感じだったような気がする。

 なにぶん昔なので正確には覚えていないが。


 ぎりりと奥歯をかみしめて、その作者さんのお気に入りを解除した。

 というのも、その「〇〇という持病」は、吾輩も似たようなやつ、持っているのだ。だけれど吾輩は長いこと、最低賃金ぎりぎりで働いて地を這いながら今日まで生きてきた。そりゃあ、その作者さんのほうが重症なのかもしれない。吾輩に比べたら、ちょっとした風邪とインフルエンザくらいの差異があるのかもしれない。交流なんてなかったから、その作家さんがどの程度の病状なのかなんて、わからない。


 でもさ。

 なんかさ。


 吾輩の心持ちの問題なのだとは思うけれども、似たような病気の人間がお涙ちょうだいで売り上げを叩き出していると思うと腹立たしいし、どの程度の病状かしらんけど同人以外に頼れるところはねーのかよ、と思ってしまう。家族や親戚がダメでも、住んでる自治体とか、国とか、なんかしら制度ないの? ちゃんと調べてんの? って、思って、しまった。


 っていう話。

 ごめんね、暗くて。

 あの作家さんは、まだ生きているのだろうかと時折不安になる。

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