45冊目 素晴らしきロココの世界

 どうも、吾輩です。

 前回古代中国の話をしたので、今回は中世フランスの話をしたいと思います。

 本格的に変態的な話をしたいと思います。


 というのも、だ!(机ドン)

 BL作品におけるヨーロッパ物が少ない!!


 歴史もの、時代ものBLというと日本のそれを指すことが一般的である。やっぱり戦国と幕末が双璧だが、平安時代の貴族や江戸の庶民を主人公に据えた作品も散見される。昭和の大日本帝国を舞台にした戦争ものもあるが、数は少ない。やっぱり時代が近すぎると不謹慎だからだろうか(※1)。

 あえて飛ばした大正浪漫は、どちらかといえば乙女ゲームの舞台として人気が高い。

 だが最近は当時の文豪が活躍する漫画やゲームが流行っているらしいので、そこから時代背景に興味をもつ腐女子が出てくるかもしれない。そういう腐女子たちによって「大正浪漫BL」が描かれてゆくかもしれない。


 本題に戻そう。

 ヨーロッパっぽい世界で展開されるBL作品は少ない。異世界系だとかファンタジー系でも少ない。

 そもそもファンタジーBLはヒットを飛ばしにくいらしい。霊感とか、神社の神様とか、その程度ならOKらしいので、日常の地続きでありながらBLの非日常を味わう、という方向性なのであろうか。


 とにかく!

 BL作品におけるヨーロッパ物が少ない!!(2回目)。

 ない、とは言わないが少ない。はい、これを読んでいるあなたが仮に腐女子だったら今まで読んだヨーロッパものの作品を思い出して。出来れば過去を舞台にしたもの。何作あった? そもそもあった? あっても数える程度でしょう? でも中世ヨーロッパの文化って意味わかんないくらいエロいの! だから! ここで! 興味持ったら! 調べて!!! 書いて!!!!


 何がエロいのかは今から説明するから!


 まず”脚線美を誇示するのは男の特権”!

 はい復唱!

 ”脚線美を誇示するのは男の特権”!


 わりと最近に至るまで「素足を出すのは全裸も同然」という文化がヨーロッパ含む様々な地域にあった。

 ヨーロッパの貴婦人のドレスを思い浮かべてほしい。みんなマキシ丈だ。

 先ほど素足は……と書いたが女性の場合は靴下履いていてもダメである。男性のほうが「規制」がゆるい。

 規制というか、そういう礼服だから仕方ないじゃん!

 ということで中世ヨーロッパの男たちは老いも若きもキュロットとタイツを履いている。素足=全裸説を採用するとなるとタイツ1枚下は全裸。全裸だ。ちょっと自分でも何言ってるのかわからなくなってきた。そのタイツもかわいい刺繍がしてあったり、ビビッドなカラータイツだったりとバラエティにあふれている。なおタイツではなくニーハイソックスに似た構造の靴下だった時代もあるそうだ。もちろん当時はパンツなんてないのでみんなノーパン(※2)。ニーハイノーパン。いやらしい(歓喜)。


 そもそも中世ヨーロッパの紳士服はとってもかわいい。イメージできない人に説明するならアレだ、ベルばらだ。でもオスカルは軍装だし、アンドレは平民だからちょっと地味だし……そうだ、フェルゼンだ。フェルゼンを見てくれ。特に宝塚のゴッチャリ派手派手しい衣装のほう。アレだ。

 裾の長い華美なジャケット(※3)、その下にはベスト(※4)、胸元や袖にちらつく豪奢なフリル、足元は先ほども説明した通りひざ丈のキュロットにタイツあるいはニーハイ(に似た構造のなにか)。靴は男性もヒール付きのものを履いていた。ほら、ヒール男子には一定の需要がある。男がみんなヒールを履いていたいい時代があったんだぜ姐さん。でもヒール男子はピンヒールの需要が高いんだよな……当時はそんなに高くも細くもない。この線で攻めるのは難しそうだ。


 じゃあ次! ”不倫は文化”!

 せーの、”不倫は文化”!


 当時の女性は基本的に、処女じゃないと嫁げないわけですよ。だから恋愛なんて持ってのほか、周囲の監視の目が光っている。

 周囲が決めた相手に嫁ぐことで、初めて自由恋愛が可能になるという状況が発生する。

 この前提で女性側の不倫が発生しやすいのはなんとなくお分かりいただけたと思う。男性だって、政略結婚で好きでもない女性と一緒になるわけだからそりゃ鬱憤もたまるわ。

 というわけで不倫は文化。


 それ別にBL関係なくない? って思っているそこのあなた。

 男性同士の不倫も結構あったんですってよ!

 一応当時同性愛を禁じる法律あったみたいなんで憲兵さんには気を付けてね。


 これフランスかどうかはわからないのだが、不倫がらみでなかなか凄い話を拾ったことがある。

 夫の様子がおかしいのに気付いたある貴婦人がそれとなく探っていたところ、自宅で夫が部下とばっちりヤっているのを目撃した。

 腹に据えかねた貴婦人は、いろいろ手を回して間男を殺してしまうのだが、夜な夜な間男が化けて出て、貴婦人も弱り果てて死んでしまう。

 似たような流れの幽霊話は日本にもままあるけれど、「夫の間男」が化けて出てくるのは新パターンだと思う。

 夫の間男。何とも言えない響きだ。


 他にも面白ネタはいっぱいあるのだが(※5)あんまり萌えにはつながらなさそうなのでとりあえずこんなもんにしておく。

 中世ヨーロッパ、とくにフランスを扱ったBL作品を見つけたらこっそり教えてくれるとありがたいしなんなら書いてほしい。

 増えろ、ロココもの。

 

※1 時代が近すぎると不謹慎

 時代が近いということは、その時代を生きてきた方本人あるいはその家族、とにかく「実際その場にいた人」と「その人の家族」が存命なわけである。

 今回は戦争に言及したが、他の事件や災害でもいい。自分や自分の親しい人が辛い思いをした経験を、こともあろうにエロ絡みで茶化されてはたまらない。

 そういうことである。


※2 ノーパン

 もちろんご婦人もノーパン。


※3 ジャケット

 ジュストコールっていうらしい。


※4 ベスト

 正確にはジレ。


※5 面白ネタ

 座るとケツが裂けるくらいタイトなキュロットがあったとか。

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