ハコニワ

作者 二星カゲロウ

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★★★ Excellent!!!

散歩に出ても同じ道しか通らない嫌いがある。
でも、たまに通らない道を通った時、
素敵なお家、素敵なお庭、
通った事のない路地裏の隙間から見える見た事のない景色に感動した。

このハコニワはそんな作品です。
このお庭には薔薇も芍薬も、檸檬の木も林檎の木も桜の木も、
菫から蓬、チューリップ、菖蒲。
その中に毒を持つ鈴蘭や彼岸花までもが混在している。
計算されていない様に見えるその自由な庭には、
必ず読者の方が「あ、これは好きだ」と思える花が咲いているはずです。

難読な漢字と効果的な平仮名の絶妙なバランスは、
漢字が苔むした庭石なら、効果的に使われた平仮名は、
その隣に咲く蒲公英の様な柔かさを持っています。
簡単に読めないと言う罠にはまってしまったら、
この庭の出口がどこだったか忘れてしまうかも知れません。

柔かく繊細な筆者様の飽くなき表現への探求から生まれる拘りの庭は、
いつも通る道のもう一本奥にある広大な美しい庭。

一つずつ花を摘む様にご堪能下さい。

★★★ Excellent!!!

BL短編集であるこちらの魅力は、なんと言っても艶。
妖艶であり陰鬱な鎖された世界で、一組ごとに濃密な恋愛模様がじわりと弾けます。
古風な文章と一話毎しっかり練られたストーリーが、格調高い『耽美』の世界を演出しています。こういった文章は真似して書けるものでもないので、文学作品といっても過言ではないと私は思います。
パッと目に入る字の並びがすでに美しい織物の様相で、恍惚とします。
それぞれの物語がとても味わい深く、私はゆっくりゆっくり、熱い紅茶に砂糖を溶かし一杯ずつ飲むように、毎日じっくりと読んでいます。
本当におススメできる名短編です。
読み終わってもまた頭から味わいたい、正しく「一冊」だと思っております。書籍であれば生涯手元に置いておく一冊にしたいと思うほど好きです。
ぜひこの陶酔をもっと多くの方々に味わって頂きたいです!