ーエピローグー

 動物国は今が秋真っ盛りです。ポロ、グレムリ、フォンそしてルーナの四匹は紅葉狩りに出かけました。

 敷物の上にはグレムリが腕によりをかけたご馳走が並んでいました。柿や栗、栃の実の団子もあります。みんなでワイワイガヤガヤ楽しく食べていると急にルーナが大きな声を張り上げました。

「みんな、ちょっと聞いて!」

 あんまり大きな声だったので他の三匹はびくりと体を強張らせました。ポロは飲み物で頬を膨らませグレムリは口からスパゲッティを垂らしフォンはおにぎりを咥えたままです。

「わたくしたち家族の役回りをはっきりさせたらいいと思わない?」

 フォンがおにぎりを口に捻じ込み言いました。

「役回りって何?」

 ルーナがフォンの口の周りについたご飯粒を取りながら「こうやって優しく世話をするのはお母さんでしょ?」と言いました。

「うん、うん…」と頷きながらグレムリはするするとスパゲッティを吸い込みました。

「ポロは動物国の平和の象徴である大神さまという尊い仕事をしているからお父さんでしょ?」

「そうかな? お父さんより王さまの方がかっこいいよ」

「んん!」

 ルーナに思いっきり睨まれフォンは口を噤みました。

「お父さんとお母さんでどうかしら?」

 ルーナはポロと自分を指した手でフォンを小突きました。

「ルーナがお母さんでポロがお父さんでいいよ。それであとはどんな役があるの?」

「あとは…」

 ルーナはちょっと考えて「子どもの役よ」と言いました。

「なんだ…」

 グレムリとフォンはがっかりです。

 豪快に二リットルボトルを飲み干したポロが言いました。

「役なんてどうでもいいさ。種類の違う動物が友だちになって遊んだり家族になって楽しく暮らせばいいだけさ。それに…」

 ポロがルーナをちろりと睨みました。

「…洗濯はフォンがしてるし料理と買い物はグレムリ、掃除はオレがやってる。どれも言ってみればお母さんの仕事じゃないか。ということはオレたちがお母さん役ってことだな」

「あら、きれいなお花だわ」

 ルーナは素知らぬ顔で花を摘みに行ってしまいました。

「ルーナ、ぼくも行くよ」

 フォンがルーナを追いかけて行きました。


 草むらを走り回り花を摘むルーナとフォンを見ながらポロが言いました。

「子どもみたいにはしゃいでいるけどルーナはウサギ長老だよね。いったい何歳なんだ?」

「んん?…」

 グレムリは首を傾げました。

「オレたちよりずっと年上なら尊敬を込めて母さまと呼ばなくちゃだろう?」とポロがウインクしました。

「うん…」とグレムリがにっこり微笑みました。

「幸せってこういうことなのかな? 本当にいい気分だ!」

 ポロもにっこり微笑みました。


『魔の山』の頂に初雪が降り動物国にもうすぐ冬がやってくる穏やかで平凡な一日でした。 

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太陽の子 星之ひかり @000000

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