お笑教のボケ方
坊主は3日に1回、何度か私の病室へやって来た
「十分休めましたか?」
「今日の天気は?」
「今食べたいものは?」
いくつか質問して
自分にボケる意思が完全にない事が分かると
「良くなっています」
そう話した
次の日やって来て、いつもと違う事を言う。
「私はお笑い芸人のための医師で、宗教家です
完全に疲労感は無くなっています
少し、あなたのボケを見せてくれませんか?」
「大喜利を出します
名前負けしている力士の名前は?」
俺が答える
「……角雄豪(カクユウゴウ)」
「もっと簡単でいいです
禿の山とか」
「全勝」
「ドン小錦」
言われるままに、答えていった
「そんな感じです
難しく考えないでください
お笑教に簡単三答(カンタンサントウ)という言葉があります
難しい笑いを1つ言うよりも
簡単な笑いを3つ言う方が価値があると言う事です』
立て続けに坊主は話す
「ここまではウォーミングアップです」
「次のお題です」
「犬猿雉が桃太郎に言いました
なんと言ったでしょう」
「……これ以上、団子で命はかけれないです」
「私の答えはこうです
誰にでも優しくする、あんたがいけないんだ」
「あなたのボケの方がおもしろい」
坊主の回答はおもしろかった
少し、シュールなとこもあるが
たった一言で大きな物語が見えてくる
「あなたにボケる方法を教えます
これまでのボケ方は少し忘れてください
簡単な方法です、難しく考えないでください」
「このボケの回答を導くのに
こんな風に考えています」
「①童話とシリアスなドラマとの逆転構造で笑いをろうと考えました
➁印象的なドラマ、物語のシーン
どんなものがあるかリスト化します
③桃太郎の世界観と関連性があるものを選びます」
「いくつか回答の候補をあげました」
「犬猿雉が桃太郎に言いました
なんと言ったでしょう
・誰にでも優しくする、あんたがいけないんだ
・それがお前の全力か
・目を開けてくれよ、まだ何にも始まっちゃいねーんだよ
・あんたのよく知ってるお供はもういないんだよ
・ここは俺達に任せて先に行け」
「作り方が分かってしまえば陳腐化するものです
最初に言ったネタもリストの中で聞けば、色あせます」
「お笑いは不思議です」
「リストさえ作れれば
普段より楽にボケる事が出来そうじゃないですか」
「お笑い教に名場一覧(メイバイチラン)いう言葉があります
物語、歴史の名場面、名台詞はリストにして持っといて損はありません
多くの人が知る共通の物語は、お笑いのコミュニケーションも円滑にします」
「簡単にボケれるようになれば
あなたの本来の才能と合わさり
お笑い芸人としてもっと活躍できるはずです」
俺に才能があると言ってくれる、今はその事が胸に響いた
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