死を恐れぬゲーマー

「ほぉ~…マリー、お前キャラメイク上手いな。やっぱ器用なのだな。」

「そう?えへへ。」

画面に映ったのはそれは素晴らしく、リアルに寄せられたアバターだった。

リーヴァの目の下にクマは無く、くせっ毛も本人の方が凄いが。

マリーも耳横のはねっ毛が足りていない。

それは後にアバターアイテムが手に入ることに懸ける。

「しかし、これはもう顔バレに近い何かではないか?」

「確かに…我ながら似すぎたかな、はは。」

「ま、良いだろう。では行くか!冒険へ!!」







***







教室で話しているワカナとリズは、ちょいちょい周りから見られていた。

あのワカナが…あの根暗消極暗黒少女が、笑っている……だと…。と。

辺りの目は温かいものから冷やかすもの、面白く思わないものまで様々だった。


「昨日は………ありがとう、ね。ワカナちゃん。」

「どうしたのだ、急に改まって。」

真っすぐ向き直って礼を言うリズに、困惑して止まない。

素直に感謝されると照れる、ということだ。

「はは、もう良いのだ。良いのだよ。」

「良くないでしょ!命まで救われたんだよ。ワカナちゃんも…もっと自分の命を大切にしてよ。」

「わかっ……た…。」

心配そうにするリズに、口ごもる。

人とはすぐには変われない生き物だ。

変えようという努力とは裏腹に、ワカナは自らの命をゲームにおける命と同じように考えていた。


人間性というものだろうか。

昨夜二人がオンラインゲームをしていた時も、リーヴァは妙に犠牲的な戦闘をしていた。

友、という存在に対する異常なまでの固執。

自分の命が、大義名分の為に消えるならむしろ喜ばしい、とも考える。


リズは心配でならない。

現実と仮想世界の区別をつけるワカナだが、やはりどこかで現実とゲームを混同している。

そして、決してゲームオーバーを恐れない。


「………善処する……。」

「分かった。私、見守ってるからね。友達として。」

「友……か。」







体育着、それはロマン。

ブルマが絶滅した今、もうそこに価値などないと悲観する者も多い。

だがこの丈の短い動きやす短パン。

風通しの良い薄い生地。

きつくない余裕のあるTシャツと『ふとぅもも』は至高である。


などとおっさん臭い思考に囚われているのは恐らく匿名掲示板のせいだろう。

何故か女であるワカナが女子の体育着姿を見て目を輝かせている。

と、いうよりも。

「ぐふふ……」

「(ぐふ?)」

いやらしさを含んだ視線を飛ばす。


「ワカナちゃん、そこら辺の男子と同じ顔してるよ。」

「お、おう。わしとしたことが。」


瞬間、ワカナの脳裏には嫌な予感が。

目を見開き身構える。

「…ッ!来る!!」

「え、あ。また?」

「さぁーてぇ!!!」

校庭に現れたゼイル先生は拡声魔術を発動した右手を口元にかざす。

大きく息を吸い込んだ予備動作を見るや否や、ハンティングゲームに精通するワカナもリズも、危機感を覚えた。

これは咆哮の前兆。

「ワカナちゃん!防御!」

振り返りワカナの耳を塞ぎにかかったリズをワカナは制止する。

「待ってくれ。わしは…進まねばならない!いちいち死んでいられないのだ!………大丈夫、わしにはリズというパートナーが…。」

「三人組を作ってくれ!!!」


ワカナは吐血して死にました。

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