・《お泊りするのは先輩ですか!?》- 1.5 -


「えっと…白沢しらさわさん?」


かなででいいよ。どうしたの千佳ちかちゃん?」


「じゃあ奏さん、率直に聞きますけど、本当にお兄ちゃんの彼女さんなんですか?」


「んー?違うよ。ちょっとからかってみただけだよ。ごめんね?」


「いや!大丈夫です!あんな女顔ヘッポコお兄ちゃんがこんな可愛い先輩と付き合えるわけないって思ってましたから!」


「そう言う割には信じてたみたいだったけど…。」


「まあ、それはこんな時間に女の子と帰宅されたら少しは考えますよ!」


「夜遅くに来ちゃってごめんね、迷惑だったよね…?」


「いえいえ全然!うち、私たち二人以外誰もいませんし!我が家だと思ってくれていいですよ!お兄ちゃんも何かあったからウチに呼んだんでしょうし!」


「いや、流石にそこまでは…。何か今度お礼を…。」


「あ、じゃあお礼ついでに一つ聞いてもいいですか?」


「なにかな?」


「奏さんって、お兄ちゃんのこと好きですよね?」


「………ふぇっ!?!?!?いいいいやそそそそそそんなこと!?」


「うわあ。ガチな反応ですぞこれは。またお兄ちゃんの被害者がひとり…。」


「ま、まって千佳ちゃん。ズバッと聞いてくるね!?ちょっとお姉ちゃんびっくりした。」


「正直に答えてください。好きなんですか?お兄ちゃんのこと。」


「早い!千佳ちゃん、過程を飛ばして結論だけを求めてくる!すっごい楽しそうだね!?」


「どうなんです!?実際のところ!」


「…うーん、それが自分でもわからないんだ…。」


「分からないって?好きかどうかって事がですか?」


「う、うん。私、人を好きになったことないし、そもそも男の人が苦手で…。」


「ほほう。でもお兄ちゃんとは楽しく喋れると?」


「うん、どうにかして私を見て欲しい!って思っちゃうのかな。柊木くんなら不思議と、ありのままで話せると言うか…。もっとそばにいたいというか…。」


「奏さん、もしかして最近、胸が痛くなったりします?」


「え、ああうん。ストレス性のものかなーって思って調べたけどどうも違くて、原因が分からないんだよね。よく分かったね千佳ちゃん。」


「………。」


「ち、千佳ちゃん?なんで黙ってるの?私、変なこと言っちゃった?」


「初恋だああああああああああうわあああああああああああ!!!!!!」


「えええええ!?」


「初恋じゃないですかそれえええ!」


「は…初恋?」


「おいおい!こいつぁウブだぜ!お兄ちゃん、凄いよ!千佳見直したよ!」


「ちょ!聞こえちゃうよ千佳ちゃん!」


「あ、すみません。ついつい興奮してしまって…!お兄ちゃんに対して、他にアプローチとかしたんですか?」


「お弁当をアーンしてみたり、少し手に触れてみたり…ああ自分でも思い返すだけで恥ずかしくて死にそう!!!」


「こっちは萌え死にそうです!!!なるほど、最近お兄ちゃんが一つ多くお弁当作ってたのは奏さんの分だったんですね!?」


「う…うん。私の食生活教えたら『意地でも作る』って聞かなくて…。本当に申し訳ないよ。」


「彼女かっ!!!あれは好きでやってるから気にしなくて大丈夫です!で、肝心のお兄ちゃんは…!?」


「特には…何もないね。今のところ。」


「ワォ…。」


「私、それで自分が凄く空回ってるような気がして、今までこんなことしたこと無かったし、自分でもかなり際どいところまで頑張ってるつもりなんだけど…。」


「あの骨の髄まで鈍感で出来た兄には届いてないって訳ですね…。」


「やっぱり、私って柊木くんのこと…。」


「むしろそこまでして、自分で気がついてないのが凄いですよ!間違いなく、恋です。」


「私が…柊木くんを…。何だろう、そう思ったら今までのことが物凄く恥ずかしくなってきた…!」


「(姫乃ひめのさん…かつてないほどの強敵ですよ…。)」


「ん?な、何か言った?」


「いや、なんでもないです!それよりほら!ゲームしませんか!?まだ時間かかるみたいですし!」


「え…うん。いいけど…。」


「そうですねぇ…なら、この王道格ゲー『ストリートボクサー2』なんてどうでしょう?私も兄もかなりやり込んでますよ?」


「格ゲーかぁ…。久々だから楽しみ!」


「年上でも手加減しませんからね!?」


「大丈夫、望むところだよ!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る