What is Pity? [Aside : 傍白]

「私は確かに言いました。どんな端役でも構わないと。でもこれでは本当に損な役回りではないですか。どうして今宵に限って……。薔薇を貰ったのが彼じゃなければよかったのにと思わずにいられませんよ。


 ねぇ、そこにいるんでしょう? どうして声も聞かせてくれないんです? 姿も見えない、声も聞こえないのでは、本当にいるのかどうかもわからないじゃないですか。ただでさえ忘れやすいというのに……。それとも、やっぱり天国なんてもの……どこにもなかったのかな……。



 ははは、そう来ましたか。青い蝶を舞わせるとは。あなた方はどこまでも演出家ですね。なるほど。わかりましたよ。これが自由の重さだと言うなら、私はそれを受け止めてみせましょう。でももう端役でも損な役回りでもいいなんて神頼みは言いません。


 もし次があるなら、私は私の持ちうるすべてでもって彼に真心を届けます。彼がどこにいようとも、成し遂げてみせましょう。何しろ押しの強さにかけては自信があるんですからね。


 今なら私にも少しはpityのことがわかるでしょうか。でも何故でしょう。人の情を知れば知るほど、私にはこの世界の残酷さばかりが目についてしまうのです」

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