第22話 それは しかばねの ようだ

 俺たちはあいつの屍の上に立って生きているんだ。骨も血も肉も全て頂いちまって、その上で腹を満たし、活動が出来るんだ。あいつがもらうはずだった愛も恋も未来も世界も明日の飯も飲み物も見る景色も匂いも感触もぜーんぶ食っちまうわけさ。


 そう思うと日常の何気ない生活の動作の一つさえ、怖くなっちわないか? 俺はたまに考えて怖くなっちまうな。まあ空腹にゃ勝てねえから食っちまうんだけど。だから食べ物を粗末にするな、残すなって言うんだろうな。実際命をいただく喜びったらないよな。単純にうまいじゃん。楽しいじゃん。


 ……飯が不味くなっちまうこと言って悪かったな、上手いよな、あいつの、豚のダシのきいた豚骨ラーメンはさ。





 お題:あいつの屍 必須要素:豚骨ラーメン

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