第38話 彼女は樹理❗

「彼女ですか? そうですねぇ。

 好きなお嬢さんはいたようですが……」

 祖母が呟いた。


「その彼女の名前は、樹理! 片瀬樹理って子じゃありませんか」

 オレの質問にリオも怪訝な表情だ。


「樹理さんですか?」

 一瞬、祖父母は動揺した。


「いや、わかりませんね……」


「そうですか」

 オレは、もう一度、仏壇の遺影を見た。

 文孝が両親と一緒に楽しげに笑っていた。


 オレたちは早々に金沢家を退散した。


 リオは帰り道、笑いながらオレと肩を組んだ。

「どういう事かしら、ノアァ~❓❓❓」

 目がくらむほど甘い匂いが漂った。


「え、何が……?」

 思わず胸がドキドキしてしまった。


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