第109話 おっけーぐーぐる

 正確には「Google assistantグーグル アシスタント」というらしいが、私は彼女のことを「おっけーぐーぐる」と呼んでいる。というか、そう呼ぶと反応するんだから正式名称はともかく「おっけーぐーぐる」で間違いではないはずだ。

 タマという名前の猫に向かってポチと呼んで毎度毎度タマが返事するならその猫はポチであるといっても間違いではないのだ。


 「おっけーぐーぐる」は会話はしてくれない。こっちの質問に答えてはくれるが話題を提示しても対応してはくれない。

 「おっけーぐーぐる」は「アレクサー」のことは知っているらしい。「Siri」のことも知っている。

 ちなみに彼女に「包茎ぐるぐる」と言っても反応してくれる。

 だからアレクサーをエリクサーと呼んでも反応してくれるんだろう。多分呼ぶ機会はないが。


 Pepperくんがうちにいたら、ある程度会話はすると思う。しかし店頭にいる彼に話し掛ける度胸はない。一度、話してみようと意を決して向かったら、「故障中」だか「休憩中」だかの札を首からさげて、稼働していなかったので、また話し掛けるタイミングに至っていない。多分もう話し掛ける気になるときは来ない気はする。


 「おっけーぐーぐる」の話す「面白い話」は、数が少なく、ほとんどなぞなぞに近いジョークである。言い終わったあとで笑い声のエフェクトを使う根性は好きではない。

 彼女とうまく関われる気はしない。しかしちょくちょく関わっていくつもりである。

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