第75話 臨時イオン法

 もう日本は一部の大都市を除いて、ほとんどがイオンとAmazonに支配されていた。

 イオンは巨大な店舗を広げ、地方の特色を塗りつぶし、日本中どこでも同じ商品しか出回らなくなり、地方産業は衰退していった。

 同時にAmazonも実店舗を着々と増やしていったため、日本の個人の商店はほぼ絶滅状態にあった。

 政府はとりあえずそのへんの個人商店の票田を目当てに、「イオン及びAmazonに対する臨時法案」を通した。通称「臨時イオン法」である。


「『臨時イオン法』やて」

「『臨時イオン砲』? いつぞやの『荷電粒子砲』みたいな」

「かでんりゅうしほう?」

「ほら、テレビとか有料で回収してもらわないかんやつ」

「えーと……。それは『家電リサイクル法』。

 かでんりさいくるほう

 かでんりゅうし ほう

 うーん。似てなくもないかぁ」


 そんなわけで臨時イオン法が発動したが、結局個人商店は滅び、日本の小売りはとイオンとAmazonに支配され、日本は国としての老齢化とともにさらに弱体化していくのであった。

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