第13話 ごえんとごじゅうえん

 五円玉は50円玉より大きい。穴の大きさも五円玉のほうが大きい。


 ここで「五円玉」の「五」は漢数字なのに「50円玉」の「50」が算用数字なのはなぜか説明しておく。五円玉にはアラビア数字が書いてないから。ややこしいな。やっぱり統一しよう。


 てことで5円玉と50円玉ということにする。


 かといって別に穴の空いた硬貨についてそれほど語ることはない。

 強いていえば、トゲが手に刺さったときなど、そのトゲを硬貨の穴のところに当てて、ぎゅっと押したらトゲが押し出されることがある。

 あと、同じように指におしつけることで、ニセ水ぶくれをつくることができる。こちらはほぼなんの役にも立たない。

 5円玉をまっすぐ伸ばした手に持つ。その穴を通して月を見ると、月はその穴にすっぽり入ってしまう。これは役に立つのだか立たないのだかよくわからない。


 日本以外の国では穴の空いた硬貨は珍しいらしい。


 5円玉を賽銭に使うと「ご縁がありますように」みたいな掛詞かけことばで、良いように言われている。

 じゃあ50円玉なら「ご自由な縁がありますように」みたいなことが言える。

 5千札で「ご声援がもらえますように」みたいなことも言える。

 5千円も賽銭に出せんけど。

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