第61話 アンドリュー・ワイエスの視点

アンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth US 1917- 2009) 

アメリカン・リアリズムの代表的画家とも言われる、だが、見なくても「モノが存在する」事も表現している。(日本画の世界に共通する)


アメリカ東部の自然と共存して、その生まれながらにして公平ではない人々を描いた。

作品には、障害を持つ女性や、より人種差別が激しい時代、黒人や弱者と言われる人々を描かれていた。

そのシーンは、地方の町チャッズフォード、そして、メイン州クッシング(避暑地)で主に描かれた。生涯、アメリカから、出たことのなかった彼は、人々に「移民の国アメリカとは何んだろうか」という、問いかけが、テーマだったと後世語っている。


ワイエスのその視点の発生は、幼少期から、身体的にも精神的にも良い状況になく、ほぼ義務教育も受られず、家庭教師や父から必要なことは学んだという孤立感も大きな要因だろうし、第二次大戦で入隊を志願したが、却下された事もあるだろう。


そのような状況下での、アンドリュー・ワイエスにとって、父である、N.C.ワイエス(挿絵画家)の影響も過大なものであった。

その転機として、、父の踏切での自動車事故死(1945)であったと言われる。


そして、

1940年 妻に紹介された、クッシング別荘の近くに住んでいたオルソン家(スウェーデンからの移民)のクリスティーナ・オルソンとアルヴァロ・オルソン姉弟をモデルに描き始めた。


代表作と言われる「クリスティーナの世界-1948」は、

ただ、女性(クリスティーナ)が草原に座っているだけのようだが、ポリオ(急性灰白髄炎)で足に障害のあるクリスティーナが、腕の力で這って自宅へ戻る様子である。

ワイエスの視点(セオリー)、そしてクリスティーナの生命力は、今後も多くのそれらの、障害のある方の、心の支えともなるだろう。


美術、芸術と言われるモノは、本来、間接的にせよ、そう言うものなのだろう・・・

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