一章終了時点での登場人物と用語集


○設定用語


▶︎天界てんかい

 人間界とは別に存在する一種の異世界、及びそこで人類の管理のために暗躍する天使組織の総称。

 王と呼ばれる十三人の最高指導者と、各王が六人ずつ指名する直属の卿天使によって、残りの千の一般天使を統括する体制をとっている。

 五千年以上の長きに渡り人間界へ不干渉の方針を貫いてきたが、二〇一六年に泰然王によって王と卿天使のほとんどが粛清される政変が勃発した。


▶︎天使てんし

 『天骸』が内包する無限の可能性によって、その存在を歪められた生物の総称。俗に言うクリーチャーは動物が天使化したものであり、稀に特定の概念が天使として形を持つこともある。

 天使になると自己のあり方を『天骸』で表現した『権能』と呼ばれる特殊能力を扱えるようになる。  

 また天使化した際の体はあくまで『天骸』で形作られた仮初めの体であり、天使体を破壊されたところで本体にダメージが及ぶことはない。


▶︎天骸アストラ

 天界を構成する特殊な高エネルギー体で、そのなかに『ありとあらゆる可能性』を内包する全知全能の力。その無限の可能性をもって、森羅万象ありとあらゆる概念を歪めてしまう性質を持つ。

 天界は『天骸』による人間界の変容を極力避ける方針を取っていたが、一部の堕天使の手などによって、地上にもその力が広く満たされてしまっているのが現状である。

 また天使は自らの体で『天骸』を生成することが可能で、『天骸』の影響を強く受けた人間も同様のことを行うことが出来る。


▶︎術式じゅつしき

 『天骸』による事象の歪みをコントロールし、特定の異能として出力する為の制御装置。

 身体や物体に直接刻印を刻むタイプが最も多く、その性質により主に『権能』と『聖創』の二つに分類される。

 『権能』は天使にのみ許された力だが、『聖創』は『天骸』を生成出来るならば人間にも扱うことが出来る。


▶︎権能けんのう

 自己の存在をもって『天骸』の形を歪め、異能として出力するタイプの術式。

 術者のトラウマ・信念・過去などがベースとなるため、その力は個人によって異なる。言うなれば先天的な固有スキル。


▶︎聖創せいそう

 既存の方程式をもって『天骸』の形を歪め、異能として出力するタイプの術式。

 己の性質と合致するものであれば、あとから習得することが可能であり、術者の実力によって保有出来る『聖創』の数は増減する。言うなれば後天的な普遍スキル。


▶︎神権代行しんけんだいこう

 天界の各王が数千年の時を費やして開発した最高クラスの『聖創』で、その能力は神の所業にも等しいと称されるまでに強力。

 樋田の保有する『燭陰ヂュインの瞳』や、簒奪王の用いた『未練の奴隷エターナルアクト』もこれらのうちの一つだが、十三存在する神権代行のほとんどは泰然王によって占有されている。


▶︎霊体化れいたいか

 二世界間の次元の差を利用した存在隠蔽術。自己の存在の基準を人間界から天界に移すことにより、術者は『天骸』を宿さない一般人の目には映らなくなり、また『天骸』を介さないあらゆる攻撃が通用しなくなる。


▶︎悲蒼天ひそうてん

 天界を滅ぼし、『天骸』による歪みから人類を解放することを目的とする対天武装戦線。

 国籍を問わない数千単位の戦闘員と工作員を抱え、日本の東京を拠点に日々堕天使の駆除、怪異の早期解決に精を出している。

 またほぼ同種の組織が西方世界にも存在し、対峙する問題の規模によっては互いに協力することも少なくない。



○登場人物


▶︎樋田可成ひだよしなり

 この物語の主人公を務めるチンピラ少年。現在高校二年生で、ツンデレ気質の自称リアリスト。通称はカセイ。

 基本的には卑屈にて陰湿、短気にて粗暴なDQN気質だが、善人としての生き方を貫き通すことが出来る『選ばれし者』に異常なまでの執着を持っている。趣味は園芸で、好物はブリ大根。

 神権代行である『燭陰の瞳』と、謎の力である『異能を乗っ取る異能』をその身に宿す。


▶︎筆坂晴ふでさかはれ(アロイゼ=シークレンズ)

 泰然王の思想に反発し、天界より堕天した量産天使ホムンクルスの一人。外見年齢13歳の145歳。

 天真爛漫と傍若無人を同時に内包する合法ロリで、外見通りのワガママっぷりを披露する一方、時には一輪の花を思わせる高潔な一面を覗かせる。

 居候の癖に家事能力は皆無で、樋田の金で食べ歩きに耽ったり、家の中で漫画・ゲーム・アニメに興じてばかりいる正真正銘のクソニート。

 『天骸』を観測・解析・再現する『聖創』である『顕理鏡セケル』をその身に宿す。


▶︎簒奪王さんだつおう(ワスター=ウィル=フォルカート)

 直属の上司に当たる鎮魂王を殺害し、天界より堕天した元卿天使の一人。その正体はオスマン帝国第二十一代皇帝アフメト二世――――ではなくその精神を媒介に、オスマン皇族の怨念を具現化させた概念天使。

 権能である『黄金の鳥籠』と神権代行『未練の奴隷』を筆頭に、『霊の剣』や『覚醒細胞』など強力な術式を数多く習得しており、あらゆる天使の中でもトップクラスに食い込む実力の持ち主であった。

 

▶︎人類王じんるいおう

 遡ること321年前、死に臨むアフメト二世に天使へと昇華する道を与えた謎の人物。容姿・性別・思想・能力、その一切が不明。


▶︎泰然王たいぜんおう

 天界に君臨する十三王の一人。

 人類への不干渉を貫く天界の方針に反発し、クーデターによってその首脳部のほとんどを粛清した稀代の革命家。

 現在天界はその独裁的な支配下にあり、人間界への積極的な進出の傾向を強めつつある。


▶︎ペド(本名不詳)

 悲蒼天に所属する戦闘員の一人。

 タレ目泣き黒子の超絶イケメンで、性格もまるで正義の味方を体現したような完璧超人。樋田が理想とする人間像の一つ。


▶︎栗鳥鈴久くりとりすずひさ

 悲蒼天に所属する戦闘員の一人。

 服装・外見・声色、その全てに中性的なイメージを内包する美少年or美少女。一見無感情なように見えるが、淡々とよく喋り、これでもかと毒を吐く。

 一章終盤では単身で天界の天使十体を葬る活躍を見せた、恐るべき実力の持ち主。



○劇中で使用された術式


▶︎『燭陰ヂュインの瞳』

 十三王の一人である幽玄王ゆうげんおうが生み出した神権代行術式。泰然王の変に際してアロイゼの手に渡り、現在は樋田が保有している。

 視界に入った対象の状態時間・座標時間を五秒間巻き戻すことが出来るが、その再使用には幾らかのタイムラグが存在する。


▶︎『顕理鏡セケル

 『燭陰の瞳』を失ったアロイゼに、唯一残された『聖創』。凡ゆる『天骸』を観測・解析・再現することが出来る力で、逆探知や映像分身の作成などその活用方法は多岐にわたる。


▶︎『未練の奴隷エターナルアクト

 十三王の一人である鎮魂王が生み出した神権代行術式。1871年には簒奪王が鎮魂王を殺害、これを奪い取り堕天することに成功した。

 自らの手で殺めた生物を首無しの怪物に作り変え、生前のスペックそのままに隷属させることが出来る力を持つ。首無しを操ること自体には特に『天骸』を消費しないため、何千何万もの首無しをノーリスクで同時に操ることも可能。


▶︎『黄金の鳥籠セラーリオ

 簒奪王の保有する権能。オスマントルコにおける皇位継承者の幽閉制度を、「未来における可能性の剥奪」と解釈し、可能性の力である『天骸』を奪い取れるように組み上げられた術式。

 簒奪王及びその眷属に触れられた者は、体に狼を模した赤い紋章を刻み付けられ、そこを通して死ぬまで『天骸』を吸い取られ続けることになる。


▶︎『霊の剣エル=ミラ

 「神の言葉はサタンと戦う為の霊の剣である」というエフェソ書の記述を元に組み上げられた『聖創』。 

 聖書に記された特定の聖句を唱えることにより、『天骸』を不可視の刃に変換することか可能であり、刃の数や大きさは術者の力量によって大きく左右される。

 一見強力な術式のようだが、引用する聖句によって斬撃の軌道がある程度読めてしまうなど弱点も多い。


▶︎『覚醒細胞イモータル

 細胞分裂を急激に活性化させ、凡ゆる外傷を瞬時に修復することが出来る『聖創』。

 その強力な性能に比例し、消費する『天骸』の量もまた膨大で、並みの術者では一度発動することすらも難しいとされる。

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