第94話 パーティ4人とシステム
「何だ、このカード」
和己は色々な角度からカードを見てみるが、特異な点は見当たらない。
「これはエクストラモードのクリア特典だ。
具体的にいうと次のような特典がある。
○ これからこのゲームは有料化するが、このカードの保持者は無料で遊べる。
○ 中での有料アトラクション、つまり食事や日帰り温泉も無料だ。
○ エクストラモードにも無料で入れる。
○ このカード以外では入れない部屋も入れる。例えば大規模娯楽室だな。
これはエクストラモードのクリア達成者、つまり実質君達4人専用だ。
第3キャンペーン期間中、つまりゲームが営業している期間中有効だ。
特典はこれしかないがまあ、勘弁してくれ」
「ありがとう」
「では何か質問はあるかい」
和己は首を横に振る。
「いや、僕はもういい」
「じゃあ私から」
冬美が口を開く。
「この組織のこの市に貴方がいるという事は、組織はシステムによって作られたの?それとも自然発生で出来たの?」
「いい質問だな」
そう言って男は頷く
「結論として、答は両方だと言える。
まずシステムの方。システム本体に気づかれる事無しで長期睡眠中の人間が他の箱船内で長期睡眠中の人間に通信できるシステムが埋め込まれていた。
これは長期睡眠のプログラムには本来無かった仕様だ。誰が何の為に仕込んだかは今となっては不明だが、主に組織によって使用されていた事が判明している。
ただ組織そのものはシステムの計画によって作り出された物では無い。元々スリーパーとしてそういう任務にあったかそれとも本当に自然発生したのか。
事実としてある箱船の仮想空間内にシステムの関与無しに発生した事が確認されている。システムの推論としてはスリーパーの確率が9割以上と推定しているがね。
ただそうやって自然発生的に仮想世界に出現した組織だが、ある時点からあシステム側が関与を始めたのは事実だ。犯罪誘発拠点として社会問題になりかねない状態に発展すると想定されたからね。
私のようなシステムの構造体が入会して内部に入り、組織内部の情報を調査するとともに内部をコントロールする。方法論としては事実に基づく情報を工夫して彼らに提供、彼らの間違った情報を修正するというのが主な手段だったのだがね。
ある程度真実を知る事で組織の内部崩壊が始まり今に至るという訳だ。
だいたいこんな感じでいいだろうか」
冬美は頷いた。
「その言葉を検証する方法は無いけれど、大体私が観察した通りだわ」
「スリーパーが他にいないとも、地上移住時に同じような運動が発生しないとも確約はできないがな、シミュレーションと要注意人物の割り出しは出来たというところだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます