○ ちゃぶ台

 直径一メートルほどの茶色い円盤が流れてきた。拾い上げると、折り畳み式の足が四本ついていた。

 立ててみた。いわゆるちゃぶ台であった。

 椅子に対して、ちゃぶ台は低過ぎる。組み合わせは成り立たない。しかし無理に組み合わせることもない。

「二倍にする?」と、ランプが言った。

「いや、いいよ。今のところ乗せたいものもないし、二つあってもね」

「二個にするんじゃないよ。高さを二倍にしたらきっと椅子にちょうどいいよ」

「ああ、なるほど」と納得しかけたが、結局断った。

 それから蓮太郎は、何となくずっと手に持ち続けていたランプを、ちゃぶ台の上に置いた。

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