第4章4 スィルカの苦戦
対戦相手、チーム・ブルックルンの副将、バーマル。
高さも横幅もかなりの巨漢だ。締まった筋肉の持ち主というよりは、冬眠前に食いだめして肥え、お腹が出てしまったクマっぽい印象がある。
大きさだけなら学園の生徒の中でも最大級だろう。
「あんな大きい奴、学園にいたっけか? 1年次生かな?」
「そうですね。僕と同じで入試で入ってきた人じゃないでしょうか。確か試験会場で見た覚えがあります」
ノヴィンの解答に、リッドはなるほどと思いつつも、やはり少し納得いかない様子だった。
あれだけの体格ならば普段も目立つ。
新一年次生の入学からの数か月。その間にあれほど大きくて目立つ男子生徒を、学園内で一度も目にしていないのはなぜなのか、という疑問が残るのだ。
「もしかするともしかする…かもしれないな」
「何がだ、シオウ?」
「さすがに学園の全生徒がどんなだったかイチイチ覚えているわけじゃない。けど、ひょっとして相手は
3人はその意見に首をかしげた。シオウの語り口は、まるで相手が変身する、あるいはしているとでも言いたげに聞こえるからだ。
「おいおい、姿を変える人間とか聞いた事ないぞ? 化け物だろそれ」
「私も想像が及びませんが、そのような事がありえるのでしょうか、シオウ様?」
リッドとミュースィルが懐疑的なのは当然だろう。劇的に姿を変貌させる生物など、おとぎ話か遥か古代の魔物でも、一部の眉唾な伝承の中ぐらいなものだ。
だがシオウがその可能性に思い至ったのは、世界を旅している時に似たような例に遭遇した、実際に経験があったからである。
とはいえ、そうそうある話でないのも事実。少なくとも現状ではさすがに根拠に乏しい。シオウ自身も確信は持てなかった。
「あり得なくはない、と言いたいところだがな。ただ俺もあんな生徒を見た事がないからなぜかなとその理由を考えてたら、不意に頭をよぎっただけだよ」
「なんだ、思いつきかよ。ビックリさせるなって」
「そうですよね、さすがにそんな人がいるとは思えないし…でもそれはそれで、面白い発想ですね、シオウ先輩!」
ノヴィンのフォローなのか興味なのかわかりづらい合いの手でもって、話は相手よりも姿を変える生物がいるかどうかという雑談へと切り替わってゆく。
――――などと外野が関係ない話で盛り上がりはじめていると、審判が両手を挙げた。
「それでは、制限時間60秒。第4戦目、チーム・ブルックルンより副将バーマル対、チーム・リッドより中堅スィルカ。試合……、はじめっ!」
挙げた手が地に振り下ろされる。と、同時にスィルカは飛び出した。
「まずは…確実にいかせてもらいますー」
バーマルの左側面を捉える位置に一息で開幕ダッシュを決め、その勢いのまま右蹴りを放つ。
予想通り相手の動きは鈍く、バーマルの左わき腹へとヒットした。
「むう、さすがにやりますな…」
先制攻撃を受けたというのに、バーマルは落ち着いていた。余裕すら感じられるその態度は、スィルカに対してあまり脅威を感じていないようにも見える。
「(確かに分厚いお腹のお肉のせいで、手応えはイマイチやったんは間違いないですけれど…)」
何か奇妙な感覚を覚えた彼女は、まずは一撃のみに留めるを良しとする。バク転を含めてやや長めに間合いをとり、相手の出方を見る方針へと切り替えた。
「おや、てっきり続けて蹴り入れてくると思ってましたが…なかなか慎重ですな」
言いながらバーマルは、自分の背後に片手を入れる。どうや腰の後ろに武器を掛けていたらしく、再び姿を現した左手には木製の手斧が掴まれていた。
「……。随分と小さい得物やないですかー。そんなんで物足りるんです?」
バーマルの武器は彼本体が大きいせいもあってか、かなり小さく見える。並みの体格の者が用いたならば普通の大きさでも、バーマルの武器としてはスケールがあまりにも不足していて、アンバランスに思えた。
「ふっふっふ、それはすぐにわかりますですよ。せいぜい気を付けてくだされっ」
今度はバーマルが動いた。見た目に反してなかなか素早い動き…だがスィルカの想定を超えてはいない。迫り、斧を振りかざしてくる相手に彼女は平静を保ったままだ。
「ご忠告ありがとございます、けどっ」
ブンッ、ブンッ、ブンッ
振るわれる斧は空を切るばかり。左右を往復する動きは、見えない雑草でも刈っているかのよう。
スィルカはその全てを余裕でかわしながら軽く息を吸って、お腹に力を入れはじめる。
「必要ないみたいや、ねっ!!」
ビュオッ…ドォッ!!!
縦に振り下ろされてきた斧を左にかわし、回し蹴り気味に相手の右からその出腹めがけてミドルキックを放つ。
足の裏の全面が接触し、相手の腹の表の肉をひしゃげさせながらめり込む。与えた衝撃は、バーマルの身体を押し飛ばした。
「…っ、さすがに…重い…。場外に蹴り飛ばしてしまうんは無理か」
片脚に返ってくる蹴りの反動の強さが相手の質量の大きさを物語っていた。実際、バーマルは3mほど後ろに下がっただけで倒れもしない。
だが試合の上ではこれで俄然、スィルカが優位に立った。何なら残り時間全てを機動力の差に物言わせて逃げ続けてもいいくらいだろう。
やはり勝利は容易い。学園の生徒の強さの水準は、多くが自分を下回っていると余計な自信を深めてしまう。
「(逃げ回るなんて…押し切るんは無理でもこのままどんどん攻め続けて―――)」
ビュビュッ!! …ッビ!!
「!! なっ、何いまのはっ?」
何か鋭い光が走ったように見えた。辛うじてかわしたものの、スィルカのスパッツの一部と肩の一部が破ける。――――そして!
ブォォオオッ!!!
「!! …うくっ、きゃあっ!!?」
咄嗟の悲鳴が上がった。
相手の斧が今まで見せたことのない速度でスィルカを襲い、彼女の腹部に強い衝撃を与える。
今度はスィルカが後ろへと5、6mほど吹っ飛んだ。
「どうやら随分と甘く見てくれていたようで…フフフ、感謝するですよお姫様!」
さらに追撃に走る相手の動きはこれまでとは段違いだった。ギアを2つ3つ上げたような猛スピード。
スィルカに並ぶとまでは言えないが、それでも追いつけ追い越せとばかりに迫る勢いと攻撃速度だ。
「くっ…う、調子にのらんといてくださいっ」
ビュッ! ビシ!
反撃に繰り出した彼女の蹴りは、バーマルの斧に阻まれる。それとほぼ同時に彼の右手が再び
シュシュッ…ビッ、ビィッ!
「!? 短剣っ…?!」
「その通りですよ、自分の武器はこの斧と投擲剣です。それにしてもいい恰好になってきたですね、スィルカ姫? それでもまだ動けるですか?」
言われてハッとする。見ればスィルカの装身具はあちこちが破け、玉のような肌が露出していた。
特に先の斧の一撃は下腹部分の布地をおおきく裂いて、ヘアーが見えてしまいそうなほど際どいめくれ方をしている。二の腕や胸部にも投擲剣が擦って切り裂いた箇所が多数あり、そこから肌色が見え隠れしていた。
いかに木製武器で刃は丸めてあるとはいえ、相応の速さで飛来すれば布部分を切る事は容易い。
柄の先にストックしておく時用の金属の輪がついているおかげで、それが光って刹那に直撃こそかわす事はできる。
しかし今のスィルカの恰好が、バーマルの攻撃は彼女の防具を破壊できるだけの威力があると証明しており、彼女の中で脅威として大きくのしかかってくる。
「さぁ、どうするですか!?
言いながらもバーマルは攻撃を再開する。投擲、そしてそれに対するスィルカの対応に合わせての
間接攻撃と接近攻撃を上手く組み合わせての猛攻に、スィルカは苦悶の表情を浮かべた。
姫と呼ばれる身に生まれ、相応の教養を身に付けてはいるものの、彼女の芯は強く太い。何なら全身裸にひん剥かれたとしても、羞恥によってその戦意が衰える事はないであろうほどに、その精神力は高潔にして強靭。
バーマルがギブアップするかと言ったのは、スィルカが姫としての恥じらいがあるであろう事を前提とした気遣いだ。
だがそれが逆に、スィルカの心に油を注いだ。
「ウチが…このくらいでギブアップ? する思われてるんでしたら心外ですっ!」
ドッ……パァンッ!!!
「がふぅっ!?? な、…い、今のはっ???」
まるで風船でもはじけたかのような音が鳴り響いた。音の正体は、猛烈な瞬発力でもって、バーマルの腹を
蹴ったと思いきや、もう蹴り脚は引っ込められている。目にも止まらぬ俊敏な攻撃は、相手の身体にムチでも振るったかのように強烈に打ちのめしていた。
「居合いだな、まるで」
「居合い? なんだそれ??」
「剣を鞘に収めたまま待ち構えて、敵が攻撃の間合いに入ると同時に抜いて斬る、っていう技術だ。難易度が高くてマイナーだけど、ちょくちょく使い手もいるし、他の武術でこれの応用技とかもある。威力の高い攻撃が繰り出せる待ちの戦技だよ」
シオウの説明に、3人は何気ない相槌を打った。色々な本を読破してきたシオウとは違って、あまり見聞きしない事にはなかなか理解が及びづらい。
脳内で情報の咀嚼を終えた者から言葉を紡ぎだしはじめる。
「シルちゃんは、そんな凄い技術を身に着けていたのですね」
「いや、おそらく偶然だと思う。それが出来る素地はあったんだろうがスィルカ自身、そんな知識はないだろうしな」
「でもスィルカさんのは脚ですよね? 剣と違って収める鞘はないんじゃあ…」
「蹴りを繰り出さない、構えや立ち姿が鞘の状態だと思えばいい。あるいは相手の攻勢を受けている状況こそが、鞘に収めているに等しいと捉えられるかもな」
「攻撃を捌くので手一杯になってた状況から繰り出せるものなのか、あんなに鋭い一撃を??」
「きっかけは気持ちの爆発、って感じだろうな。要は相手の言葉にカチンときて、衝動的に繰り出したんだろう。普段からよく練習しているからこそ、頭で考えずとも反射的な衝動だけで身体が動いてくれた。同じ攻撃を意識的に出す事はまだ出来ないだろうな」
「(今の…何でしたんやろ…? すごくいい感じに蹴れたけども……)」
ほんの十数秒で息が切れる。スィルカにとってそんな経験は初めてだった。
それは身体の疲労によるものではなく、苦戦による精神的な緊張とそして今、偶然放つ事のできた攻撃の手ごたえに対する興奮のせいだ。
もう一度できるだろうか? いや無理。まぐれを求めるには残り時間が少なすぎる。
ここまで客観的に振り返ってみても、判定は自分の方が不利。勝利するためには攻撃を何発か当てないといけないと彼女は判断する。
「(新調したばかりやったのに、我ながらひどい恰好ですなぁ…フフッ)」
みっともなく、いやらしい姿だ。もし両親が見たら卒倒させてしまうだろうか? 焦らなくてはいけないはずなのに余計な事を考えている自分。スィルカは、思いのほか冷静な自分に驚く。
「(……さって、勝負決めんと。ウチがここで負けたら本選進出も怪しくなるし)」
多少の誤差はあるだろうが、残り時間はそろそろ10秒を切るか、あるいは切っているはず。スィルカは次の一息で勝負にでなければならない。
ビィィ……
グッと脚に力を込めた途端、伝線するかのような音が聞こえる。スパッツの擦り切れているところが裂けて、破けが広がっているのだ。
だが気にも留めない。例え完全に破け去って股を晒そうが、これから繰り出す攻撃を緩める事は決してない。
はしたないとミュー姉様に怒られるだろうか? もっとも、衣服が破けてなくなったら、はしたないどころの騒ぎではないのだろうが。
不思議な境地。考えるは戦闘とは関係ないことばかり。
なのに、妙に集中できている。
「すぅぅぅ……はぁぁぁぁぁぁぁ………。…………」
深く吸って、吐く。
そして呼吸を止めた。
ドンッ!!
大質量が闘技場の床を蹴って、大きな音が鳴る。バーマルがダメ押しとばかりに最後の攻勢をかけてくる。
これまで通りまず投擲、その背後から一拍遅れての斧。
「(…なんだ、ワンパターンやないですか)」
浮き沈みのない、平静な精神状態で見ればなんてことはないじゃないかと、スィルカは今までの苦戦していた自分を自嘲して、口元を笑ませる。
そして、そのまま待ち受けるのではなく自分から前へと飛び出した。
「何!? 飛び込んでっ…」
しかし驚きつつも、斧を振るうバーマル。
ザスザシュザシュッ!
投擲剣がスィルカに突き刺さり、あるいは切り裂きながら後方へと抜けていく。彼女の視線はバーマルの斧にのみ集中し、投げつけられた木製の短剣の事など気にも留めない。
「シュッ!」
短い、息を吸ったかのような一声と共に彼女の身体が回転する。
バーマルの左、同じ方向から振るわれてきた斧に、回転でぶつけるかのような蹴りが入った。
ザザッ、ガッ!!
「うくっ、お、斧を――――――ぐがっ!?!!」
振るっている最中の斧を蹴った事でその動きは加速させられ、バーマルは左手に引っ張られるようにして前のめりに体勢を崩す。
そこへ回転を止めて、今度は逆回転方向。高く上げるように放たれた背面蹴りは、彼のアゴから、その頭をのけぞらせるほど綺麗に入った。
これでスィルカの勝利。そう思われた。
・
・
・
「……残念ですけども一足遅かったようで、ホンマ申し訳ありませんー」
「シルちゃん、そういうのは後にして。とにかく先に着替えましょう?」
ミュースィルは、闘技場から下りてきたと同時に深々と頭を下げるスィルカの身体に、急いでタオルを巻きつける。
残念ながらスィルカの最後の攻撃は時間切れ後で、審判の判定には入れられず、結果は引き分けに終わってしまった。
「なーに2勝2引き分けでも、負けよりは全然いいって。相手さんが見かけよりも強かった――――うおっ!?」
チラリと見た相手サイドの様子にリッドが驚愕する。何事かと他の4人も目をやるとそこには……
「残念だったな、バーマル」
「もっと長期戦だったら勝てたろうが…まぁ、仕方ないね」
「ふー…また痩せちゃったですよ。はぁ~食費がかさむです……」
シュ~と蒸気を立てながら、あの大きな身体のバーマルが見る影もなく痩せて小さく――――否、普通の男子生徒並みの姿でそこに立っていた。
「あーやっぱりな。そのパターンか」
「え、え? どういう事ですん、なんなんですアレ!?」
「覚醒能力だよ。あの様子じゃエネルギーを蓄積しておけるとか、それを用いて体力を温存できるだとかそんなとこだと思うが…能力次第で姿がガラッと変わったりする能力持ちがたまにいるんだ。他の大陸を旅してた時に2、3回似たようなのを見た事がある」
容姿が激変してしまう事もあって、そういう能力の持ち主は人前で変化したり、変化した姿を見られるのを嫌う人も少なくなく、それでなかなか世間一般には認知されてない――――と、続くシオウの説明が耳に届かないほど、4人は驚きで固まってしまっていた。
「…と、とにかくだ。あー……俺とノヴィンでスィルカ姫さんを更衣室までエスコートしよう。ミュースィル姫さんとシオウは試合に集中しててくれるか?」
「シルちゃんでしたら私が連れていきますが…」
「何言ってるんですミュー姉様。試合時間は長くて1分。ウチが更衣室に到着する頃にはもう出番なんですから、ここにおってくださいー」
「それは俺が負ける事前提か?」
敵は大将。
シオウが勝てばこちらの大将であるミュースィルの出番はなくなる。だがシオウが相手に勝てるかと言われると、何とも言い難い。
「勝てるってんなら勝ってくれた方がチームのためにもいいんだけどな? もしシオウと姫さんが負けたら2勝2引き分け2敗になっちまうんだし」
「悪くはありませんけど本選出場に確実とも言えない成績ですー、シオウさんが負けたらミュー姉様に頑張ってもらわんとあかんのですよ?」
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結局、リッドとノヴィンにエスコートされてスィルカが更衣室へと向かい、闘技場にはミュースィルとシオウの二人だけが残った。
「ま、仕方ないな。思わぬ苦戦だったし、こういう事もよくある話か」
ミュースィルに持ってた食べ物やら何やらを預け、シオウは闘技場に上がる。
正直なところ、スィルカが残りを片付けてしまって自分の出番は回ってこないと思っていたので非常にだるい。めんどい。
両手を組んで腕を上げ、伸びをしながら左右に身体を揺らし、ストレッチまがいの仕草をする。
「あ、忘れてた。武器武器…」
「はいシオウ様。無理して怪我をなさらないでくださいね。私も頑張りますからっ」
両手を握りしめ、その大きな胸を揺らしながらフンスと可愛らしいガッツポーズを取って見せるミュースィルから木杖を受け取る。
自分も頑張るから…その気概は大変よろしいとは思う。だがシオウは対戦相手に向き直ると、ため息を吐いた。
《で、どうする気? ワザと負けるのかしラ、それとも勝ちにいく?》
「(さて、どうするかな? 負けてミューがどこまで戦えるか見ておくって手もあるが……ま、やる気があるだけで勝てるなら苦労はないな)」
やる気になってる彼女には悪いが、まずミュースィルでは勝てないなと思いつつ、シオウは相手を見る。
チーム・ブルックルンの大将、ブルックルン。
持っている得物はハンマー。だが柄の方にも刀身がある変則の近接武器で、そのまま順手で強打撃、逆手で斬撃が繰り出せるタイプ。
しかし彼はもう一つ、得物を持っていた。握りこぶし2つ分程度の短いステッキ。
「(完全に魔法と接近戦の二刀流スタイル。ミューの魔法じゃ、魔法には対抗できたとしても接近を許した時点で終了だからな…勝ち目があまりにもなさすぎる)」
《じゃ、勝ちにいくのネ?》
それに対し、シオウは本当にだるいといった態度で、渋々肯定の意を示した。
「(ああ、スィルカが試合途中に更衣室行きになった上、ミューに負け戦をさせたとなると、後で
《フフッ、頑張ってネ。でも無理はダメよ、分かってると思うケド――――》
「(そこまでする気はないから心配するなって。…とにかくやってみるさ)」
シオウはやれやれとこぼしながら、開始線に立った。
「はは、まさかお前とこうして戦う事になるとはな、シオウ!」
「? どちらさんでしたっけ?」
ブルックルンはガクッとヒザを崩した。しかしすぐに立ち直る。
「ブルックルン! お前と同期の! ブルックルン=ベスト=サテンだっ」
「……随分、自己顕示欲の強いことで」
「ふん、お前こそ相変わらず女子みたいな奴だな。ダウナー系カワイイ…じゃなくっ! とにかくだっ、こうなった以上こっちは俺が2連勝して成績をイーブンに持ち込まないといかん。せっかく1回目は
その言葉を聞いてますますため息を吐く。
シオウの態度にブルックルンは "なんでため息!?" と驚愕していたがスルーする。これでますます勝つべき理由が増えてしまった事に、シオウはまいったなと呟いて、武器として持ってきた木杖を、自分の前でくるくると回した。
「んじゃま。ここはひとつ、頑張って勝ってみるとしますかね」
審判の両手が上がる。そして…
「制限時間60秒。第5戦目、チーム・ブルックルンより大将ブルックルン 対、チーム・リッドより副将シオウ。試合……、はじめっ!」
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