なんて日だ!
何故、従姉がアマゾネスなのか。
見た目の通り、巨乳でケツもデカい、それに男勝りな性格で、いかにも肉食系女というイメージでアマゾネスと名付けた。
髪はロングでアップにし、メガネをかけてキャリアウーマンっぽい出で立ちをしているが、何せガタイが良すぎる!
いや、太ってるとかじゃなくて、全体的にゴツい。
おまけに大きな口で彫りの深い顔立ち、昔陸上をやっていたせいか、スタイルは決して悪くない…
だが、あくまでもマニア向けな体型だ…
何せ身体のパーツ全てがデカい!
巨乳でケツもデカいが、肩幅も広いし、ふくらはぎの筋肉もハンパじゃない!
こんなゴッツイ女が、はち切れんばかりのブラウスに膝上のタイトなスカート…
確か身長は175ぐらいあったような…
見た目と一緒で豪快な女だ。
まさか中学に入学して、従姉が英語の教師になるだなんて思ってもみなかった…
あれは入学して早々、英語の授業の時だった…
「ん?あれ、山本智?えっ、まさか智くん?ウソ、あの智くんがこの中学に入学したの?」
バカ!言うんじゃねぇ!オレは従姉だなんてバラしてねえのに何でテメーがわざわざクラスの前でバラすんだよ!
オレは恥ずかしかった…
『えっ、先生と親戚なの?』
『何だよ、それじゃ有利じゃねえかよ』
『お前、テストの問題こっそり聞いてこいよ』
そんな外野の声がオレ耳に入ってくる!
あぁ~、何喋ってんだよ、このバカ従姉は!
しかもその後、とんでもねぇ事を言い出した…
「懐かしいねぇ、昔はよく一緒にお風呂入ったの覚えてる?智くん、私のオッパイずーっと触って、《お姉ちゃんのオッパイ大きくて柔か~い》って言って、ずっとオッパイ触ってばかりいたわね。懐かしいなぁ」
『えー、一緒に風呂入ったのか?』
『やだーっ、イヤらしい』
『オッパイ星人かよっ!』
…この時点でオレは詰んだ…
入学して間もない頃についたあだ名は《オッパイ星人》
このバカヤローが、何も公の場で言う事じゃねぇだろが!
オレはスゲー赤っ恥をかいた…
あぁ、もうオレの中学3年間はオッパイ星人というレッテルを貼られて皆から白い目で見られるんだ、もうやだ!
学校に行きたくない!
こんな事、あっけらかんにいう教師がどこにいるんだよ?
(終わった…何もかも)
力石の最期のセリフが頭をよぎった。
そう、もうオレは学校へは行けない、入学してソッコー登校拒否して、他の中学へ越境して転校しよう!
そう考えた程だ!
何てこった、オレの中学時代は!
…ってな事を思いながらも、越境して他の中学に行けるなんて事は出来ず、現在に至る…
「はーい、ところで今日は宿題やってきたかな?」
あぁ、そうだ!
宿題だ!
オレは我にかえった。
ヤベー、大体宿題あるなんてさっき知ったばかりだぞ!
頼む、従姉!オレを指すな!
「はい、それじゃMr.ヤマモト、宿題の英文を訳してみて」
…何の迷いもなくオレを指しやがった。
ったく、中2の英語だろ?
簡単じゃねえか、んなもん。
オレは教科書をペラペラとめくった。
「…っ!」
一瞬固まった…やべ、オレ中2の英語力が全く無い!
えっ、こんな事やってたのか、中2で?
解読不可能だ、41才のオレが中2に英語の授業が理解出来ない!
「Mr.ヤマモト、どうしたの?」
…全っ然わかんねぇ!
もう、こうなりゃヤケクソだ!
「…アイム ジャパニーズ。ノースピーキング、イングリッシュ」
出来るだけネイティブな発音で答えた。
「おい、智!お前宿題やってこいと言ったのにやってこなかったんだろ?ったく何度言えば解るんだろうかね、この子は」
急に態度が豹変した。
『この子だってよw』
『だって一緒に風呂入ったぐらいだから親子みたいなもんだろ』
あ"ぁ~ハズい、チョー恥ずかしい!
【こりゃ、また何かやらかしおったな、お主!】
あっ、またジジイ!
ギリギリギリギリ…
「ギャーッ、痛ぇ、頭が割れる~っ!ジジイ!早くこの輪っか外せ、バカヤロー!」
『…またはじまったぞ』
『誰に向かって言ってるんだ?』
『アイツ、ホントにヤバくなったのかもな』
「オレ、あんなヤツにタイマンで負けたのかよ…」
龍也まで呆れ顔でオレを見ている。しかしオレといい、龍也といい、チャッピーまでもが顔に落書きしたままだ。
「Mr.ヤマモト!Be quiet!(静かにしなさい!)」
何だ、クソ!
これで何回目だ、頭が痛くなるのは…
いきなり中2にタイムスリップして、ケンカに始まって顔に落書きして、何度も何度も頭痛くなるし、なんて日だ!
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