ジジイ、取り引きしようぜw
【こりゃ!】
いきなりジジイが現れ、呪文を唱え、頭の輪っかが締め付けられる。
「うぎゃ~っ!!頭が痛えっ!割れる~っ!」
またもやオレは床をのたうち回る程の痛さだ。
【お主、あの少年をイジメてるだけじゃないか!】
ジジイ!テメー、この輪っかを外せ!スゲー痛えんだぞ、おいっ!
『また一人で暴れてる…』
『おい、アイツ病院連れてった方がいいんじゃないのか』
オレ、かなり危ないヤツだと思われてんじゃないのか?
「おい、山本。お前、朝から変だぞ…」
ったく龍也にまで心配されてんじゃねえかよ、ったく。
「あぁ、痛ってぇな…おいジジイちょっと来い!」
オレはジジイを引っ張り、トイレに連れ込んだ。
あのまま教室でジジイと話してたら、見えないヤツと話してる危ないヤツだと思われて、こっちがシカトされちまう。
【何じゃ一体、こんな感じとこに連れてきて】
トイレに連れて行かれ、ジジイは何かをされるんじゃないか、と警戒している。
何でオレにか見えないようになってんだよ、このジジイは?
「ありゃイジメじゃねぇだろ!こうやって顔に落書きして皆笑ってるじゃないかよ!龍也だって見たろ?今朝と違って今は皆と笑ってるじゃんかよ?ああやって笑いをとってクラスが1つなる!良いことじゃないか、ん?」
オレは順を追って説明した。
【そりゃまぁ、確かにお主の言うとおりなんじゃがのぅ】
何だこのジジイ、意外と頼りねえ仙人だな、そういやさっき上の者に頼まれたとか言ってたよな、確か…
「ジジイ、テメーオレが1日でも早く徳を積めって言ってるけど、テメーの保身の為に言ってんだろ、んん?」
【ば、バカな、何を言うんじゃ、とにかくお主は徳を積む!そうじゃないと元の世界に戻れないぞぃ!】
ジジイの顔が一瞬、ギクッとなった。
どうやら図星のようだ。
「え~、別にオレ今のままでもいいかなぁって思ってるけどねぇ」
こっからはオレとジジイの駆け引きだ。
ジジイは間違いなく焦ってる。
コイツも中間管理職なのかな?
っていうか、仙人の世界にもそんな役職があるのか?
胡散臭ぇ、ジジイだな。
そのうちホラ貝でも吹きそうな感じの装束なんかしやがって!
【何っ、お主戻れなくなるのかも知れないのだぞ、それでもいいのか?】
ジジイは狼狽えながらも、オレに説教した。
「ん~?だってオレ、もう一回中2からやり直せるんだぜぇ、こんな経験他のヤツにゃ出来ねえじゃん。別にこのままでもいいかなぁ、うん」
オレは開き直ってジジイに言い返した。
【何と!良いのか?元に戻れなくなるんだぞ!それでもいいのか?】
だって中学生からやり直せるんだぜ、オレだって前はよく、「あぁ~あ、学生時代に戻りてぇなぁ」なんてよく言ってたんだし、実際こうやってやり直しが出来てんだ、ある意味願いが叶ったようなもんだろ。
「いいじゃん、別にぃ。もうめんどくせえからこのまんまでいいよ」
ホントにそんな気分になってきた。
フルモデルチェンジしたオレの中2ライフを満喫するのも悪くない。
【バカもん!お主には徳を積んで早く元の世界に戻らにゃならんのだぞ!】
さっきから徳、徳とうるせえな。
「ジジイ、オレを早く元の世界に戻さないと上の者に怒られんだろ?なぁ、そうなんだろ、おい?」
やっぱりこのジジイ、上の者にガミガミ言われるのがイヤで1日でも早くオレを元の世界に戻そうと必死なんだなw
【な、何を言うか!お主戻りたくないのか?もう1度、妻や娘のいる世界に戻りたくないのか?】
…こんなインチキ仙人の口車に乗ってたまるかってんだ、これからがオレの輝かしい青春時代が再スタートするんだぜ、このままだっていいじゃん、うん。
「んじゃあ、どうやったら徳を積めるんだよ?なぁ、教えてくれよ」
そもそも徳なんざ、大人になっても積めるようなもんじゃないだろ!
【そ、それはお主が悪さをしないで真面目で皆から慕われるような…】
「ハイハイハイハイ、要は品行方正、成績優秀、皆の模範になるような人物になれって事だろ?でも考えてみろよ、ジジイ。オレがこのままで徳を積めると思うか?聖人君子じゃあるまいし、オレは人間なんだぞ!そんな完璧な人間がこの世界のどこにいるってんだよ?」
フッフッフッフ、このジジイ、テメーの功績が欲しい為にこんな事言ってんだろ、コイツも所詮、中間管理職だ、上の者にギャーギャー言われ、下の者に突き上げ食らって必死になってるだけじゃねぇかwww
【うぬ~、お主このままで良いと言うのか、どうなっても知らんぞい!】
おぉ、逆ギレか?それよか問題はあの杖だ。どうやって奪えばよいものか…
「いいよ~、その代わりジジイが上の者に怒られるだけじゃん?オレ、そんなの全く関係ないしぃ~」
そう、オレには全く関係がない!
【こ、この男開き直りやがったな…】
焦ってんのがバレバレだっつーの、しかし仙人の世界にも地位とか名誉ってのがあるのか、イヤな世界だな、ホントに。
「で、ジジイ。こっから先は相談だ。あんたはオレを早く元に戻したい、だがオレが徳を積まない限りは戻れない。
そこでどうだ、取り引きしないか?」
オレは取り引きを話始めた。
【な、取り引きとは一体何じゃ?】
…早ぇとこ教室に戻らねえとな。
「簡単だよ、オレは徳を積めばいいんだろ?だったらその手助けしてくれよ。それならオレは1日でも早く元に戻れるじゃんか?」
それが一番手っ取り早い方法だからな。
【何ぃ?そんな手助けなんて出来るワケなかろう!】
顔を真っ赤にしてジジイは断固拒否した。
「あっそ!じゃ、この中2生活を満喫しよっと。そうなるとジジイは上の者から言われるんだろうなぁ、《何モタモタしてんだ、早くあの男に徳を積ませるようにしろ!》とか説教食らうんだろうな、ウヒャヒャヒャヒャヒャ!」
【こ、この卑劣な男め…】
よしよし、この開き直り作戦が上手くいきそうだ。
「あぁ、そういう事言うんだ、じゃあオレ戻るのやーめたっ!」
さぁ、どうでるジジイ。
【わ、解った解った。で、取り引きとは何だ?】
よし、これでペースを握ったようなもんだ。
「簡単だよ、んなもん。この先オレに有利になるようにアドバイスしてくれりゃいいんだよ」
仙人はまたもや顔を真っ赤にして怒らせ過ぎたかもな?ツルッパゲの頭が青筋立てて血管切れそうじゃないか、ワハハハハ!
まぁ、いい。
オレ、このまんまでいいや。
【何っ、アドバイスだと?それじゃお主の為にならんじゃないか!】
何を言おうが、オレにはジジイの言うことが綺麗事にしか聞こえない。
「うるへー、オレは別に残ってもいいんだよ?ん?その事をどう上司に報告するんかなぁ、こりゃ見ものだ、ダーッハッハッハッハッwww」
よし、仙人のジジイを論破してやったぞ。
「なぁジジイ。オレも中間管理職だったんだよ、テメーの気持ちも解らないではない。
で、ここからが本題だ。
オレを1日でも早く元に戻らせるつもりなら、難題があったらそん時は頼んだぞ、なぁ?」
ウヒャヒャヒャヒャヒャ!
このジジイも焦ってやがるw
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