第41話 サボり魔

なぜこんなに面倒なのか?

誰も理由を教えてくれない、

出来ないことやれないこと、

本当はしたいことなんかない、

まず自分の空間を確保したいだけなんだ。

 必要最低限の寝て起きて寝れる場所が欲しいだけ、

これはあらゆる生物の欲求なんだ、

これを侵されては生き物は生きていかれない。

眼を開ければすべてが入ってくる、やるべきこと、

誰かが決めたこと、しなければならないこと、

誰かが決めたこと、まとわりついてくる。

せまい狭い空間から誕生して、気付いた時には、

寝て起きる場所さえ失っている。

そんなことが日常的に人にも生き物にも降りかかってくる。

これを不幸と呼ばずしてなんと呼ぶのだろうか?

まだ生きてられるのはなんとかその場に、

自分を押し込んで生きる事を続けているからで、

押し込む場所が少しでも狭くなってしまったら、

居てもたってもいられず落ち着かなくなるだろう。

 それを知っていてすべての事を積むのだろうか?

人は何もかもを果たせるように出来ていない不完全な生き物だ、

必要最低限の寝て起きる場所さえ守れないほどに弱っている。

弱り切った状態で何かを為そうなどと考えつくだろうか?

既に限界に達している人が何人も要る、だが限界点に自分を、

押し込んで休息を得てしまえば、そこが住まいとなってもしまう、

人間が自分の世界を築こうとしては失敗している理由は、

相手を簡単に許しすぎたからだ、一人二人三人が、

互いを許しあって譲り合って生きるには器が小さすぎるにも、

関わらず、それでも生きている生きてられるというだけの理由で、

長の年月、人は暮らしを続けようとする。とうの昔に狭くなった、

自らの住まいの中に無理くり自己を押し込んで生きようとする。

まるで服のように住まいを着込んで、脱ごうとはしない、

もっと大きな単位を着たいと思えなければならないし、

もっと大きな眠る場所を人は欲している。

出来るならだれの声も聞こえない場所で一日寝ていたいのに、

誰かの声が響く場所でなければ人は暮らせないように仕組まれて、

毎日を送るにも非常に大量の騒音を耳にしなければならない、

静かさを得ようとしても、騒がしやがいくらでも声を響かせる。

静かに眠る場所を欲している、静かに起きれる場所も同様に必要だ。

どちらも必要不可欠な場所なのにも関わらず、

うまくこなせいばかりに息をひそめてなければならない。

 ここは私だけの場所だと言えるところをずっと求めている。

ここに入るな出ていけ、ここは私だけの場所だ、

私が作った世界だ、ここに立ち入るな出ていけ、

繰り返し警告している。警告音だけが鳴っている。

ここは私だけの場所だ、お前の場所じゃない、出ていけ、

私が手に入れた場所だ、お前の場所じゃない、出ていけ、

人はずっと叫び続けている。何度も何度も叫んでいる。

1人ぼっちが恐ろしい癖に自分の場所を欲している。

一人ぼっちが恐ろしいことだと理解できる位の孤独を、

いつも誰もが欲している。 常に満たされないままに。

施しを求めている、もっとほどこしを、与えてくださいと、

さもなくば死んでしまうだろうと、もっと水を、

もっと養分をと求めている。繰り返し繰り返し、

この退屈なスペースを自らでまた埋めつくして、

同じ罪を重ねようとしているにもかかわらず、

もっともっとと自らの場所に大量の物品を人を展示して満足する。

机らしい机なんかない、自分のデスクや居場所なんか準備されてない、

ただ横へよけて、ほんのすこし出来た領域に自分を押し込める、

そこは居心地が悪い、寝て起きて寝れる場所ではなく、

ずっと起きていなければいけない場所だからだ。

人を詰め込める装置を作ってはいけない、何人も、

人を思う存分に詰め込める装置を作ろうとしてはいけない、

それは人を封じておくための箱に過ぎず、

そのような箱に収まるために皆、生きてるわけではないのだから、

寝て起きて寝れる最低限が護られる場所が無ければ人を保てない、

そう出来ているというのに、どこまでも欲張りである。

一日ずっと起きているようにもとめられることは苦痛であるのに、

人は起きていることを要求する、もっと長く起きていることを、

もっとながく働くことを、忙しく動き回ることを求める。

その結果、それぞれの場所で人間が音を立てて崩れ去る。

必要最低限が護られない人は何かが壊れている。

自分という部分を破壊しなければ押し込むことが出来なかった故に、

大事な部分が欠けてしまっていなければ居場所に入れなかった故に、

人間がサボタージュを起こしたわけではない、

ただ必要不可欠なはずな場所を与えられなかった人が欠けてまで、

当てはまらなければいきれない空間が増大していくだけだ。

 それは人に与えられた場所ではなく、労働に与えられた場所である。

労働は人なしには存在しない観念だ、だが、人を加工して削って、

人を道具として利用すれば、労働のみを存在できるように細工可能だ、

それはまるで咀嚼行為に似ている、貪り食って出来たからだナラバ、

労働を得るために他者をむさぼり食って、より多くのものを得る。

労働を生産するために人間を犠牲にして大量に労働を作りだす。

そこに満足があるのだという、だが満足も納得も出来ない、

はじめから人間として欠けていた人たらずを最終加工所で、

ぎりぎりのところで労働に換金することができたと喜ぶのなら、

その喜ぶのを見て納得することは労働から納得を得ることは出来ない。

人間を労働にして、人間から満足を得ることは出来ない、

働いている、活発にと思っている。思い込んでいる。

実際には道具になるために持ち手をつけられただけで、

持ち手さえ人間についていればうまく動かせるというもので、

人間に様々な突起を作り出すためにガシガシ加工を始めているだけである。

 異世界から転生する過程を見れば分かることである。

転生するには一度人間としての形を完全に捨て去る必要がある、

人を破壊することで出来た部分を拾い集めて、使えそうなものに作り替える。

人間加工業ともいえる仕組みであり、うだつの上がらない人生から、

数々の魅力的なキャラクターを組み合わせてソフトウェアへ進化する。まで、

物語を紡がなければならないという、やはり労働が積み上がって出来ている。

人間を書こうとして人間を加工しはじめている。

 生まれや育ちが量産され、より感情移入しやすいカタチにならなければ、

そこに人があるとさえ認識できないのだから、人間が好む形になれるように、

大量の薬剤を投与してカタチを変えていかなければならない、

規則的にものごとを進めようとすることが危険なのはこれこうしてある、

人間を加工して利用しやすいカタチに変えたい欲求は誰しもあるし、人文をもっと扱いやすい、ものに起伏に富んだ形にして発信したい思いも同時にあるだろう、

だが何百回でも人をカタチにするたびに、したいことやりたいことからは遠ざかる。

人間らしい動き、人間らしい生活の基本は、寝て起きて寝る事にあるのに、

誰もが起き続けなければ労働になれないことから、いつしか寝る事と起きる事をやめて、マシンと直結したひとつのエネルギーに成り変わっていく、

ただ文字列を紡ぎ、誰かを満足させるために星を輝かせる機械的動作を、

これを足して、あれを足せば人は満足するのではないだろうか?と打算を続けながら、人間の欲求を書きたてる力を発揮し続けている。

 人間の欲望が紡がれるには時間が掛かる、欲望を形にするために大量の人員やプロが立っている。女性の数、男性の数、それぞれを満たす為に必要な機械動作、

文士が文を紡げば、その通りに人間は動きだし、やがて動きやすいように整えて、

いい役目やいい取り柄を取り合って形にもなっていく。

 文士が値どれだけになるかの作品を書くか、いつも算盤はじいて生きなければならない、あのキャラクターを利用し、このキャラクターを利用し、ここの道筋を通して、山のように人間を消耗して、お膳立てしなければ、何かを述べることが出来たとはならないのだ。 ルールは初めから決まっている。 半ば支配的なルールが。

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