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優香は記憶を失ってしまったのか、エジソン大元帥との結婚をあっさり承諾した。
エジソン大元帥は優香を床に降ろし、十字架の前に二人で並ぶ。
『お前はいい子だ。神の御前で誓うのだ!俺の妻となり、生涯添い遂げることを』
「いいわ。あなたと永遠に添い遂げることを神の御前で誓います」
「……優香?バカなことはよせ!エジソン大元帥と結婚するなんて!優香!お前は混乱しているだけなんだ!」
エジソン大元帥が優香の左手の薬指に十字架がついたリングを嵌めた。優香もエジソン大元帥の左手の薬指にリングを嵌めた。
「優香ーー!!」
エジソン大元帥は優香のウェディングベールを持ち上げる。優香がエジソン大元帥を見つめ微笑んでいる。
エジソン大元帥は……
優香の唇にキスをした。
俺は銃で打たれた足を押さえ、床にへたり込む。鮮血が床を赤く染めた。
優香は奴らに記憶を操られているに違いない。
優香は正気を失っている。
悔しくて、涙が滲む。
『無様だな。思い知ったか』
頭に向けられた銃口……
レオン大佐が引き金に指を掛ける。
「お待ちなさい!レオン大佐、私達の挙式をこれ以上人間の血で汚すつもりですか」
『コイツは王位継承者だ。コイツが生きていては、エジソン大元帥は国王にはなれない。今頃は獣族軍が王城を占拠し、国王やギダ殿下、人族を一人残らず抹殺しているだろう』
「人族を抹殺?何を言ってるの?エジソンはホワイトメイディ王国の国王にはなれなくてよ」
優香はツンと鼻先を上に向けた。
口調といい、態度といい、優香とはまるで別人だ。
『我が妻よ。何を血迷っているのだ。そなたはこの国の王妃となるのだぞ』
「神の御前で誓いのキスを交わしたからには、エジソンと私は生涯の伴侶。もうやり直しは出来なくてよ」
『……やり直し?何の話だ?』
優香は礼拝堂の入口に視線を向けた。
「ねぇ、焦らさないでいい加減入って来なさいよ。いつまで私に嘘をつかせる気?」
――嘘……?
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