【10】スキャンダルなんて怖くない? 摩訶不思議。
80
―東京―
時刻は午後十一時。
私達はまだ離れたくなくて、矢吹君のマンションへ一緒に帰る。
矢吹君のマンションから、自宅に電話を掛けた。
「ママ、東京に戻ったけど、東京駅で偶然高校の友達と逢ったんだ。久しぶりだったから話が盛り上がって、今日その子の家に泊まることになったんだ。だから、今日は帰らないから」
『まあ、外泊するの?迷惑じゃないの?』
「うん。独り暮らしだから大丈夫」
『わかったわ。恵ちゃん、元気だった?』
「うん。まだ完治はしてないけど、元気だったよ」
『そう。安心したわ。じゃあね、おやすみなさい』
「はい。おやすみなさい」
ママに嘘をついた。
ごめんなさい。
でも……
今夜は矢吹君と一緒に過ごしたい。
「ごめんな。親に、嘘つかせて……」
「ううん、違うの。私が矢吹君と一緒に居たいの」
恵太と美咲さんに影響されたからじゃない。矢吹君のことが大好きだって、わかったから。
矢吹君の広くて大きな胸に、小柄な私はすっぽりと包まれる。
矢吹君は私を優しく抱きしめ、キスを落とした。
何度も重なる唇が、優しくて……あたたかくて……。
息をつく暇もないくらい……激しくて……。
「優香、シャワー先に使う?」
「……うん」
矢吹君の気遣いが嬉しくて。
――どうしよう……
初めてじゃないのに、またドキドキしてきた。
「また、なにか悩んでるのか?わからないことは何でも聞いて」
――矢吹君のちょっと意地悪な顔……。
「優香のそんなところも可愛くて、全部好きだよ」
――耳元で囁く、甘い声……。
抱きしめられただけで、死んじゃいそうなくらい、私の心臓は猛ダッシュで走り出す。
矢吹君の腕の中で……
甘い吐息を漏らす自分が恥ずかしい。
愛してる……
あいしてる……
アイシテル……。
何度も何度も、心の中で……呟いた。
この幸せな時が……
永遠に続くと……
信じて……。
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