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「アホ、本気で引っ張るな。耳が引きちぎれるやろ!元カノって、勝手にを付けんなっ!くそっー!俺には、お前がいんの!あー!悔しい!何でだよぅ」


「なんや、その言い草。恵太、誰が毎日、あんたのパンツ洗ってると思ってんの?うちやで、ふざけんとってや」


「くそっ、わかったって。美咲が俺の女や、それでええんやろ!」


「それでええねん。ほんま、浮気したら許さへんからな。塞いだ傷口広げたるからな」


 私と矢吹君は彼女のブラックジョークに、笑うわけにもいかず圧倒されている。


 これは痴話喧嘩だよね?

 恵太って、こんなキャラだったっけ?


「矢吹、新聞見たぞ。お前、俳優なんだよな」


「まぁな」


「まじで?この人俳優なん?そやからイケメンなんや。恵太とは、顔の作りもオーラも違うと思っとったんや」


 矢吹君が俳優と知り、更にテンションが上がった彼女が、二人の話に割り込む。


「美咲、少し黙ってろ。話が出来んやろ?これは男同士の話なんや。矢吹、俳優のお前が一般人の優香と、ちゃんと付き合えるのか?それが出来ないから、別れたんじゃねーのかよ」


「中原の言いたいことはわかってる。大丈夫だよ、優香は俺が守る」


「お前、優香を泣かせたら、俺がただじゃおかねぇかんな」


「泣かせたりしないよ。中原、また俺を、殴るのか?」


「おお!何十発でも殴ってやる!俺は警察官なんだ。もう猫パンチだなんて、言わせねーぞ。優香を裏ぎったら、この俺がお前を逮捕して、刑務所にぶち込んでやる」


「アホ!恵太、何言うてんねん?言ってること、無茶苦茶やで。俳優を殴ったら、あんたが刑務所行きや。子供みたいに拗ねて、ほんまにアホやな」



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