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 彼女は恵太の……こいびと!?


 こいびとって、恋人だよね??

 変人の間違いじゃないよね??


 う……そ……!?


 私は思わず、恵太の顔をガン見する。


 恵太は顔を引き攣らせ、ブルブルと左右に振った。


「なに首振ってんねん?あんたは壊れた扇風機か。恵太、うちら、付き合ってるやろ。まさか、優香ちゃんの前で嘘をつく気やないやろな。偽証罪で逮捕すんで」


「あ……」


「『あ……』やあらへん!ええ加減にし―や!」


「……恵太……そうなの?」


 恵太の目は落ち着きなく、上下左右に動いている。私と目を合わせることが出来ないのだ。


「ごめん……優香。そういう事だ。俺は今、美咲と付き合ってる」


「そう、よかった」


 内心ホッとした私は、満面の笑みで答える。


「そうよかった?って、優香、即答かよ。『どうして?』とか、『いやよ……』とか、ねぇの?」


「……よかった。恵太にこんなに素敵な恋人がいて。安心したよ」


 呆然と私を見つめている恵太に、矢吹君が口を開いた。


「中原、俺達もまた付き合い始めたんだ」


「えー!?ま、待て。優香……嘘だよな?俺達遠距離恋愛してたんじゃねーの?まだ別れ話しもしてねーだろ!」


 恵太が大声で叫んだ。


「なんやて?まだ、別れ話しをしてない?どーいうことやねん。うちと優香ちゃんと二股してたいうんか!」


 美咲さんが恵太の耳を思いっきり引っ張った。


「い……いててて……て。み、美咲……痛いやんか……。耳が引きちぎれる。二股してへんって……」


「あほっ!当たり前や!何、狼狽えてんねん!優香ちゃんは恵太の元カノやろ!ええやん、彼氏がおっても、恵太にはうちがいてるんから!」


 彼女がものすごい剣幕で怒鳴った。



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