【9】元カノ?今カノ? 摩訶不思議。

優香side

69


 ―東京―


 夜、リビングでかめなしさんと寛いでいたら、テレビを観ていた母が突然叫んだ。


「優香!大変よ!ニュースを観て!」


「騒がしいな。どうしたの?」


 母の声に驚いて、思わずテレビを観る。

 ニュース番組のキャスターが臨時ニュースを読み上げ、画面にテロップが流れる。


 ――――――――――――

 臨時ニュースです。

 大阪浪速警察署管内で交番勤務の中原恵太巡査が、迷彩服を着用し獣のマスクを被った不審者にサバイバルナイフで刺され重傷。

 尚、犯人は凶器を持ったまま逃走中です。

 ――――――――――――


 ……えっ?

 中原恵太巡査……重傷……!?


 恵……太……?


 う……そだ……。


『迷彩服に獣のマスク……?』


 かめなしさんが腕組みをし、険しい顔をした。


『まさかな……』


 なにが、まさかだよ。

 現実に、今、臨時ニュースが流れたでしょう。


「ママ……恵太が重傷なの?ママ……電話して、電話だよ。恵太の家に早く!」


「……うん、そうね」


 慌てて母が受話器を取る。

 震える指でダイヤルを押した。


「優香……誰も電話に出ないよ。どうしよう……。きっと病院なんだよ。恵ちゃん……重症だって……」


 受話器を下ろし、母がポロポロと泣き始めた。


「やめてよ。ママ……泣かないでよ。そうだ。ケータイ……ケータイ……」


 私は慌てて携帯電話を取り出す。


 恵太に電話をするのは、何ヶ月振りだろう。


 きっと……恵太の家族が電話に出てくれるはず……。


 ――プルルル……プルルル……


 数回コールが鳴り、電話が通じた。


『はい、中原のケータイです』


 電話の向こうで、女性の声がした。


 恵太の母親ではない、女性の声。

 若くて可愛い声だ。


『あの……中原のケータイですが?どちら様でしょうか?』


「あの……私、上原優香と申します。中原さんの幼なじみです。中原さんの怪我は大丈夫でしょうか?ニュースを観て心配になって……」


『あーっ!もしかして、優香ちゃんなん?ちょっと待っててな』


 えっ?急に声の調子が変わったし。


 暫くして……懐かしい声がした。


『よっ、優香か』


「……恵太……生きてるの?えっ!?生きてるの!?」


『バーカ、生きとるわ!なに言うてんねん』


「はっ?関西弁……!?」

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