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◇◇
ナイトと地球で再会した後、俺は王国に帰還し使用人に変装した。ホワイトメイディ城に忍び込み、ギダ殿下の寝室に向かった。
俺とセガは地下牢に投獄されていることになっている。誰かに見つかれば、俺達を魔術で脱獄させたナギが罪を負わされ、国王陛下に処刑されてしまうかもしれないからだ。
ギダ殿下の寝室に忍び込むと、そこにはギダ殿下とアリシアの姿があった。
「……タカ王子、お前も脱獄したのか。だとしたら、地下牢にいるのは一体何者なんだ?」
地下牢……?
ああ、殿様バッタとダンゴムシのことか。
「お前もということは、セガがここに来たのですね?ギダ殿下、セガから話を聞いたのでしょう。もうエジソン大元帥との話し合いは解決したのですか?」
「……セガ公子は昨夜ここに来た。地下牢に投獄していたナギ王子の釈放を要求し、私の軍服を盗み、私に成りすまし城を出た。行き先は多分……獣族軍の司令部だ」
「ナギを釈放し、二人だけで獣族軍に!?そんな……。それで、セガやナギはどうなったのですか!?」
「それはわからぬ。私達も二人の行方を案じていたところだ」
セガ……。
ギダ殿下に成りすまし、獣族軍に乗り込むとは……。
俺はそこまでしろとは言ってないぞ。
獣族軍は野蛮で非道だ。
人を喰い殺すことも可能な鋭い牙や、刀剣にも劣らない鋭利な爪も生まれながらに持っている。
ナイトやアリシアのように、人族との混血ではない獣族は、体も毛に覆われ、容姿も人間とはほど遠い。
獣族のエジソン大元帥は、ナイトと同じネコ科だ。もしもナイトがいてくれたら、話し合うことも出来たかもしれないが、セガ公子は獣族がもっとも嫌う人族。
――このままでは、セガの身が……危ない!
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