22

 掛け布団の奥にはモジャモジャの頭が見えた。何だ、あのモジャモジャは……。


 雷様でも落ちてきたのか……。


「う、わああ――!」


 そこに横たわる巨体……。

 この世のものとは思えぬ、あられもない姿に思わず絶叫する!!


 地球上で恐竜と遭遇したくらいの、戦慄が体を駆け抜けた。


 み……み……美咲!?


 嘘……なんでぇ!?


 俺のシングルベッドのスプリングは軋み、悲鳴を上げている。ベッドの殆どは美咲に占領され、俺はヤモリみたいに壁にへばりつく。


 まさか……てないよな?


 俺のオレ……、なぁ、てないだろ?


 恐る恐る自分の寝姿を確認する。


 ――ガーン……ッ!?


「わっわっ!まじ!?」


 俺は裸だ。

 これは、何かをたわけではなく、俺は昨日から裸族になっただけだ。


 第一、俺はベロベロでそんな記憶もないし、酒に弱い俺のオレが、酒に強いはずはないんだから。


 きっと俺同様、オレも酔い潰れていたはず。


 落ち着け、俺。


 優香の為に今まで大切に守ってきた俺の純潔が、美咲の裸体に惑わされるはずはない。


 隣でグゥーグゥー寝ていたパンダ……、いや、美咲が目を覚ました。メイクも落とさず寝たのだろう。アイシャドーとマスカラが取れ、パンダみたいに目の回りは真っ黒だ。


「うふっ、おはよう。け、い、た」


「……っあ」


 な、何なんだ。

 取って付けたようなこの気持ち悪い色気は。思わず瞼を閉じ死んだ振りをする。


「うふん、幸せっ!」


 美咲の太い二の腕が俺の背後から抱き付く。即ち、羽交い締め状態だ。


「……ぐ、ぐぇ、ぐぇ(助けてくれ)」


 俺は潰れたカエルかっ……!


 このままでは美咲に圧死させられてしまう。美咲の腕を振り払おうとするけど、力士のような腕力で振り払えない。



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