17

「かめなしさんだけじゃないんだ。全部の動物の声が聞こえるの」


『へっ…?全部?』


「全ての動物が毛むくじゃらの人みたいに見えて、声が聞こえるの。場所が動物病院だったからかな?」


『う……そ……』


 かめなしさんが目を見開いて驚いている。


「ねっ、ありえないでしょう。最初はパニックになったけど、かめなしさんのことを思い出したら、落ち着いて話せるようになったんだ」


『凄いな。特殊能力がレベルアップしたのか。俺、嬉しいよ。ずっと話し掛けてたけど一方的だったし、ずっと孤独だった。優香とこうして話がしたかったんだよ。優香との愛もこの一年で深まったし、そろそろ身を固めないとな』


「身を……固めるの?招き猫の置物みたいに?陶器になるんだ……」


『はぁ?なにボケてんだよ。俺と優香が身を固めるんだよ』


「私も?二人で右手と左手の招き猫になるの?私は陶器はやだ」


『アホか、これ、プロポーズなんだけど』


 私の……目は点。


 人生初のプロポーズが、まさかの飼い猫!?


「かめなしさん、頭大丈夫?一年の間に、脳が老化したんじゃない?」


『老化!?どこが老化なんだよ!俺は一歳しか歳を取ってねーよ』


「猫なのに一年で一歳だなんて、サバよんでるの?そんなに若く見られたいの?」


『……っ、俺はそこら辺の猫とは違うんだよ!これは仮の姿だ!いや、待て、これは本来の姿で、猫が仮の姿?』


 かめなしさんと話していると、こちらが混乱してくる。動物達の本来の姿は、人間みたいに二足歩行で獣耳と尻尾があるのかな。


 確かに、私には全部の動物達がそう見えてはいるけれど。


 リビングから母の声がした。


「優香?帰ってるの?電話中なの?ご飯出来てるんだから、早く電話切りなさい」


 そうだよね、母には私の声しか聞こえてない。だから電話中だと勘違いしている。


 やはりこの特殊能力は、私だけみたい。

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