153 ルークとダンジョンマスター。そしてエターナ、ポンコツ。
やって来ました。迷宮都市ツヴァイス。
大きな都市だ。街道都市に引けをとらない大きさだ。
えっ、道中はどうしたって、順調だったぞ。これといったイベントもなく、只日々が過ぎた。そんな話、面白くも何ともない。だからパス。
転移ゲートに登録して一度降魔神殿に戻った。魔王の
「……(コク)……」
ちょっと心配だ……。
さて、戻ってみれば、誰も居ないし……。部屋はガランとしている。
デルタがいつもの所に居た。
「……どこに行っていた?」
「迷宮都市まで」
「……潜るのか?」
「そのつもりだ。ある程度潜ったら助っ人頼む」
「……仕方あるまい」
口では嫌そうに言ってるが、口元が笑っている。ほんとは行きたくて、ウズウズしてるんじゃないのか? デルタ。
死者の都の食い倒れ屋に来た。
「その後、連絡あった?」
「はい。連休中はあちらに居るそうです」
「大丈夫かね……」
「さあ……」
セーフティーエリアの端に大きな工場のような建物が出来ている。アイントンさんに用意した研究所兼工場だ。
中に入ると既にガラクタが散乱している。専属メイドでもつけないと駄目かもなぁ……。
奥に行くとアイントンさんと見慣れぬ老人が居た。
「おぉー、
オールだな。完全に浮かれていやがる。人前で
「オールが喜んでくれて何よりだ。アイントンさん、よく来てくれました」
「まさか迷宮の中にこんな所があるとは……気に入ったよ。魔道具職人のオールさんも、とても造詣が深く頼もしい。ここに来てから、時間というものを忘れてしまっているよ」
「それは良かった、他に必要なものがあれば言ってください。できるだけ融通しますので」
部屋に戻るとエターナが転移石で戻って来ていた。ちょっと早い気もするが優秀と思うことにする。
「どうだった?」
エターナは紙を渡してくる。迷宮に入るには、ハンターギルドか迷宮ギルドに登録しているとタダ。それ以外は入場料が必要。なるほど。
なになに、超重要案件!? 迷宮前広場の赤いのぼりのサンドイッチ屋は絶品。同列、レピンアイスも美味……って、他にもどこそこの何が美味しいなどがぎっしり書かれている。エターナくん、君は何を調べてるのかな?
エターナはやり遂げたという意味からか、顔を朱くさせ胸を逸らせながらこちらをじっと見ている。褒めてほしいのか?
「ま、まあ、最初だからなよくやった。今後は、食べ物関係くらい他の事も調べてほしいかな?」
「……(コクコク)……」
さて、となると、迷宮ギルドに登録しに行くか。ということでエターナを連れてツヴァイスに戻り迷宮ギルドに登録してきた。エターナがなにか職業を覚えれるかなと思ったが駄目だった。もちろん、俺もなにも覚えてこなかった。残念。
部屋に戻るとやっとみんなが戻っていた。
全員でケットシーの買い出しに行っていたそうだ。って全員で行ったのかよ。お上りさんに寄れば馬鹿馬鹿しい……もとい、女三人寄れば姦しいと言うが、いったい何人になるんだ?
「ルーク。戻っていたのですね」
さくらとニーニャを抱っこしてほっぺにチュウをする。さくらもニーニャもくすぐったそうにする。
「さっきね」
「また行くのですか?」
「当分は日が暮れてからだな」
「それだと、さくらちゃんは厳しいですね」
「そうだな、夜中がメインになるからな」
「ミャ~」
しょうがないよさくら。悲しそうな顔をしているのでさくらにチュチュしてたらニーニャも加わった。
「ミャミャ~」
「私も今度迷宮都市に連れて行ってください。新たな孤児院を作りますので」
迷宮都市ツヴァイスはハンターの総本山的場所。そこを切り崩せばハンターギルドに大きなダメージを与えられる。迷宮から出る素材やお宝は、ハンターギルドの重要な収入源だろうからな。ここを落とせば形勢逆転を狙える。
レイアには頑張ってもらいたい。その分護衛はきっちりとしないと駄目だろう。うさ子が居ないのは辛いところだ。最悪デルタに頼もう。
「ケットシーの買い出しはどうだった?」
「問題なく終わりました」
「じゃあ、明日届けるか」
「ミャ!」
「あい!」
レイアの代わりに可愛い猫姉妹が元気良く返事をした。
さて、みんなと夕食を取った後、ツヴァイスの迷宮に来た。
「今から入るのか?」
迷宮の入口にいる警備の方に声を掛けられる。
「そうですが、なにか?」
「もしかして初めてか?」
「はい」
「なら、一度案内所で話を聞くと良い」
迷宮の入口横に建物があり、この迷宮を管理しているそうだ。
中に入ると、ドールが居た。
ということは、この迷宮を管理しているのはダンジョンマスターということになるのか? どんな奴なんだろう。会ってみたいな。
「どのようなご用件でしょうか?」
流暢な喋り方だ。ハイドール以上ということだな。
「初めてなので話を聞くように言われた」
「そうですか。それではご説明致しますね」
この迷宮はまだ未踏破なんだそうだ。下層に行けば行くほどモンスターが強くなり、素材やお宝のランクが上がる。一階層毎にセーフティーエリアと転送陣があり、転送石を手に入れれば自由に転送陣が使える。二十四時間営業でやっているが、迷宮に入るのは全て自己責任であると説明された。
「何かご質問はございますか?」
「迷宮踏破とは、ダンジョンマスターを倒すということですか? それともクリスタルの破壊でしょうか? ちなみに他の迷宮のダンジョンマスターが入っても、問題ないでしょうか?」
隠したところで、どうせバレているだろう。こちらもハイドールを連れて居るのだから。だから、ずばっと聞いてみた。
「……」
フリーズしてしまったな。
「ダンジョンマスター討伐もクリスタル破壊も勘弁して頂きたい」
別の男性ドールが出て来た。
「では、何を持って踏破とするんだ?」
「この迷宮は誰でも入る事が可能。身分や種族に制限はないので、ご安心を。踏破につきましては、最終階層にボスを用意しているので、そのボスの討伐を持って踏破とします」
「ダンジョンマスターに会う事は可能か?」
「それは、私からは何とも申し上げられません」
「そうか、わかった。ありがとう。行くぞ、エターナ」
ダンジョンマスターに会ってみたかった。どんな人物なんだろうな。
取り敢えず、迷宮に入ってみるか。
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