152 魔王の主の影、参上!?

 宴は続くよどこまでも。ルークです。


 こいつ等、強い強すぎる。ざるだよ、ざる。俺は焼酎を入れずお湯だけ入れて、飲んでる振りだよ。つき合ったら撃沈確実。


 まだまだ続きそうなので、クロジさんに後日来ると伝えてお暇した。付き合っていられるか! 持っていた焼酎は全て進呈。好きなだけヘベレケになってくれ。


 ゼータは何故か、お肌が艶々になっているように見える。顔をキリリっと保とうとしてるようだが、だらしなく緩んでるぞ。お前は変質者か! 出禁になってもしらんぞ。


 帰り際にぬいぐるみを貰った子たちが、感謝の気持ちだと思うがハグしてくれた。凄く心が暖かくなった。レイアも同じ事をされて、お返しにほっぺにチューをしていた。それをゼータが羨ましそうに見ている。もの凄く寒くなった……。


 降魔神殿に戻ると、オールが怒っていた……。あっ、忘れてたな。



あるじ殿は悪魔じゃ、いや、使徒じゃのう!」



 うーん。良い方にランクが上がった? オールから見ると神が敵になるのか? やっぱり下がったのか? ようわからん。



「そんな怒るなよ。知らなかったんだからさぁ」


「知らぬでは済まされませんのう。もし触れていたら大惨事だったのう!」


「触れてたらどうなった?」


「抵抗できなければ消滅……ですのう!」


「オールの師匠は何ともないんだろう」


「ジル師匠は暗黒属性もちだからですのう!」


「要するに、オールはまだまだその師匠より未熟だって事だな」


「!?」



 オールは口をパクパクさせている。



「研究も大事だが己自身の研鑽も大事だと思うぞ、レベルあんまり上がってないよな、最近」


「ぐぬぬ……」



 人の事あんまり言えないけどな。俺もどこかでレベル上げしたいんだけどな。考えはあるんだが……。



「取り敢えず、明日はよろしくな」


「……承知しましたのう」



 部屋に戻り、みんなと打合せをする。


 レイアたちには明日、ケットシーに頼まれている日用品の買い出しを頼んだ。必然的にさくらにも同行してくれるように頼んだ。



「ミャー」


「ファル師匠、王都から迷宮都市まで馬車で行ったらどの位かかりますか?」


「ふむ。馬車なら三日という所かのう。行くつもりか?」


「先程オールと話をしていて、効率よくレベル上げできる場所を考えていました」


「成程のう。しかし、ひとりでは無理じゃぞ」


「どうしてでしょうか?」


「迷宮は下に潜れば潜る程、モンスターは強くなりレベル上げには良い場所だが、それに比例して罠も巧妙になってくる。おぬしにはスカウト技能はあるのか?」


「無いですね」


「それだけではないぞ。モンスターも複数で襲ってくる。最初は良くとも、必ず無理が出てくる。そうなれば命を落とすだけじゃな」


「デルタとオールを連れて行こう」


「ミャッ!」


「じゃあ、さくらも連れて行くか。となるとスカウトだな」



 オメガの所に来た。


 スカウト役になるドールかモンスターが居ないか聞いてみた。



「この場合はモンスターよりドールでしょうな」


「理由は?」


「意思疎通や信用でしょうか」



 確かにモンスターの言葉は理解できない。人族と同じ言語を使えるモンスターは知能が高いがプライドも高いので、長時間は使いづらい。それに比べ、ドールは誰かに仕えるのが仕事であり喜びなので、例え人族が主でも忠誠心は変わらない。



「テイムスキルを持っているが、関係ないかな?」


「いえ、あるに越した事はございません。こ度はお嬢様のドールではございませんので、ルーク様のテイムを利用されるとドールの成長に影響がでると思われます」


「良い方にか?」


「価値観の違いかと……」



 ドールをテイムした場合、進化先に選択肢が増えるらしい。良い方にも、悪い方にも……。


 必要だし召喚しよう。


 ハイドール・スカウト。オメガが間者として使ってる奴だ。男女選べるので、女タイプにした。単に名前が決まっていたからで他意はない。



 一体のドールが目の前に現れ、頭をたれひざまついている。



「……」



 何も言ってこない……。しょ、しょうがない。



「今日から俺がお前の主だ。テイムに同意するか?」


「……(コク)……」



 ドールがひざまついたままの状態で頷いた時、光に包まれ天の声インフォが聞こえた。



『ハイドール・スカウトをテイムしました。名前を付けてください』



「エターナ。今日からお前はエターナだ」


「……(コク)……」



 って喋らねぇーのかよ!


 鑑定すると、確かにスカウトだな。スキルが多いのは俺がテイムしたせいのようだ。ステータス値もLV1なのに高い。称号に魔王のあるじの影とある。近くに居ると回復速度が上がるみたいだ。魔法がひとつも無いな、後で買うか。


 ちなみに名前は、ゼータの次のエータとエターナルを掛けた。



「これで良いかな?」


「ノープロブレムでございます」


「じゃあ、行くか」



 シュッタと立ちあがり、俺の後ろに立った。黒装束だけで頭巾はしてない。頭に狐ミミがある。狐ミミ流行りなのか? それ以前に邪魔じゃねぇ? なにかドールには頭に動物の耳を載せる掟でもあるのだろうか?


 大広間のいつもの場所にデルタが居たので紹介した。



「新しい仲間だ。エターナっていう。よろしくな」


「「……(ペコリ)……」」



 それだけかい! さくらの部屋に行こう。それにしても、もんじゃ腐って死の淵覗く……もとい、三尺去って師の影を踏まずって具合について来るのは、どうにかならんかね。


 さくらの部屋に居た全員にエターナを紹介する。



「……(ペコリ)……」



 頭を下げた後は自分の後ろに隠れてしまった……。シャイなのか?



「これで問題ないですよね」


「……そ、そうじゃな」


「ということで、明日から三日程旅に出ますので、よろしく」


「「「……」」」




 駅馬車使ってさっさと行って来る。


 一度行ってしまえば、あとは楽だからな。





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