90 ダゴン様からの情報は危険がいっぱい
ダゴン様はウィスキーをいたくお気に召したご様子。
「如何に邪神からの依頼と言っても、私自ら出向いて倒す気は全くなかったのだがね。そうも言ってられない状況を奴らは作ったのだよ。君は私や海竜王などの力を持った者が、点在するか考えた事があるかな」
「単純に考えれば、何かを封印あるいは守っているからと考えます」
「アハハハ……単純に考えて答えにたどり着かれてしまったか。その通りなのだよ。我々は別の世界に繋がる道を守っているのだよ。わたしは暗黒への道を、聖竜王は天界への道をと言うようにね。あの魔王共は最悪の状況となる新たな道を強引に開いたのだよ。開いた世界は瘴気、全てを陰が支配する世界。人族だけでなくモンスター達でさえまともに生きられない場所だ。あの魔巣窟と同じような所だな」
「魔巣窟もその世界に繋がっていると?」
「ふむ、言い方が悪かったね。奴らは自分自身を瘴気の世界と繋げたのだよ。いやぁ参ったね。歩く生ゴミだよ。近づくのも嫌だったね。最初は聖竜王と海竜王が戦ったが駄目でね。仕方なく私ともう一人が、共闘と言う形で彼らに手を貸して倒したのだよ」
オールから聞いた話と食い違ってるな。
「聖竜王と海竜王で倒せなかったのですか?」
「あの耄碌ドラゴン達では無理だったな。我々が手を貸さねば、良くて相打ちだっただろう。多くの瘴気をばら撒いてだがね」
「魔巣窟の方へは行かなかったのですか」
「当時の勇者は優秀でね。そちらのお嬢さんの一族から出た勇者だったね。聖竜王と海竜王より強かったのだよ。我々が手を貸す前に倒して独自の術で封印した後だったよ」
「魔王を倒すのに手を貸さなかったのは何故ですか?」
「人聞きが悪いなぁ。貸してない訳ではないのだよ。魔王に至る迄の露払いもしたし、魔王軍のけん制も我々が手を貸したのだよ。魔王を倒す技も身に付けていたし。それが自爆とは知らなかったがね」
「色々、話がねじ曲がって伝承されていますね。神側のプロパガンダ的には仕方ないのでしょうが、全く伝わって無いのも如何なものかと」
「いやー、君は良い事を言う。その通りだ。全て自分達やったかのように言いふらす図太さ。実際、勇者にあの自爆技を教えたのも奴らだ。自爆などせずとも、我らと共闘すれば生き残れたものを……」
まあ、今回はこのくらい聞ければ御の字だ。そろそろ、さくらがおネムのようだ。挨拶をしてお暇しよう。
「さくらがそろそろ休む時間帯なので、最後にひとつだけ教えて頂きたい。今の十二の魔王とは何ですか?」
「そうなのかい? 私は全然平気なのだがね。確かにマイハニーは眠そうだね。まあ、その話は今度にしよう。時間はたっぷりある」
ダゴン様には話をはぐらかされてしまったが、好きなだけ滞在してくださいと伝えておいた。こんな事で喜んでもらえれば安いものだ。さくらをマイハニー発言には、俺は少々顔が引きつってるが、それ以上にアルファの機嫌が悪い。飛び火しない事を切に願う。
また裾持ちして蒼流神殿に戻るのも面倒なので、転移魔法で降魔神殿に戻る事にした。
まりゅりゅとプルミも戻っていて部屋でくつろいでいる。
こちらはみんな疲れ切ってぐったりしていたので女性陣はさくらとお風呂に行ってもらい、男性陣はさくらの部屋にオメガを呼んで先程の話を聞かせた。
「絶対に敵に回したら駄目だな」
「……存在そのものが異常だ」
「ジル師匠と友人と言うだけで規格外ですのう」
「今後はどのように対応致しますか?」
「当分の間は付かず離れず、ご機嫌取りだろうな。幸いダゴン様はさくらを気に入って頂けたようだし、わざわざ荒波立てる事もないだろう。但し今以上に情報収集が不可欠になる。こちらの情報漏洩も気をつけるべきだろうな」
「丁度、迷宮ランクが上がりましたので、情報戦専用の部隊を作ろうと思いますが如何でしょうか?」
「了解だ。進めてくれ。拡張オーブもひとつあるから必要な時は言ってくれ。オールの方も継続で情報収集を頼む。オメガとの情報共有も忘れないように」
「承りました」
「承知したのう」
「……私はどうする」
「デルタの出番はまだ先だ。当面は自由にしてもらって良い。以上だ解散」
【優雅高妙】をさっさと王都には送って、地盤固めしてもらわないといけないな。一ヶ月半後には新しいプレイヤーが入って来る。その前に形だけでもクランを立ち上げてないと、既存のクランに持ってかれてしまう。いっその事、土地権利書を使ってクランの場所だけでも確保するか? 少しみんなと話をするしかないようだ。
女性陣がお風呂から上がったので風呂に行く。ひとりだったのでゆっくり入った。寂しくなんかないからな! ぐすん。
風呂を上がった時点でも、ダイチとコッコはまだ戻ってないようだ。やり過ぎて、ヤギが回って……もとい、焼きが回ってなければ良いが……考えても仕方ない。祈りだけ捧げよう。
他の皆はさくらの部屋に居た。さくらはもう寝たようだ。
「すごい話ばかりだったわよね」
「そうですね。政治の表裏も見えてくるような話もありましたね。私は明日、両親に勇者の事を聞いてみようと思います」
「それ俺も聞いてみたいな、一緒に行って良い?」
「話してくれるかわかりませんが、良いのですか?」
「街にも用事があるから駄目もとでね。自分だけに話せない事かもしれないし、その時は諦めるよ」
ゾディアック一族の事だけに、部外者には口外しないかもしれないからな。
「まりゅりゅ達はあの後どうなったんだ?」
「まりゅ達ー、勧誘されちゃったー」
「途中で更紗さんが帰って来てな、夕食を一緒にと言われて断るのも失礼だと思ったのでご相伴に預かった。結構長居してしまった。私もテイムが欲しくなったよ」
「後で王都のスキル屋に連れてくよ。今回の報酬は期待できそうだからな」
「よろしく頼む」
「ひなさん達はいつ行きます? ゲーム時間であと二日こちらに居ますが」
「あの馬鹿兄妹次第ね」
「向こうでクラン立ち上げるんですよね」
「そのつもりよ」
「場所とかお金は大丈夫何ですか?」
「正直、厳しいわね。今回の報酬次第ね」
「その事について後で話しませんか? こちらも融資などを考えてますから」
「それは助かるわ。よろしくお願いね」
「立ち上げるなら早い方が良いですからね」
夜も更けてきたので、今日はお開きにした。
ちなみに【優雅高妙】の皆さんが煩いので客室作りましたよ。
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