41 今後の方針。何故かダンジョンマスター?

 ログインした。


 仕事帰りに会社の同僚に国分町呑みに誘われたが、約束があるので泣く泣く断った。



「お帰りなさいませ。ルーク様」


「みゃ~!」



 アルファが律儀に挨拶してきて、さくらが飛びついて来て顔中ペロペロされる。


 メールが届いている。【優雅高妙】のひなさんからだ。全員揃っていて、噴水広場にいるそうだ。さくらだけ連れて迎えに行ってくる


 ゲートを抜け噴水広場に行く前に、露店街の野菜売りのおばさんの所に寄って、また大量買い込んだ。野菜売りのおばさんにまただいぶまけてもらったが、うさ子が居ない事を残念がり次に来る時は必ず連れて来る様に約束させられた。


 おばさんにお礼を言って、皆が待つ噴水広場に移動する。



「なんかさー。すごくラフじゃねぇー」


「NPCって言われても納得しそうだな」


「そうね……」


「うさ子ちゃんはー」


「さくらちゃん。かわゆい……」



 と、取り敢えず、移動しようか。それから情報ギルドだけ寄らせてくれ。


 情報ギルドに行ってガレディアがいないか聞いたが不在だった。代わりに秘書さんが来てガレディアに来た事を伝えておくと言ってくれた。レイアリーサさんはコリンさんの家で療養しているらしく、見舞い行って欲しいと頼まれたので、後で見舞いの品をもって行きますと伝えておいた。


【優雅高妙】の皆さんに色々勘ぐられたが無視。


 再度、ゲートを抜けさくら達の部屋に入ると皆、驚いている。別の部屋からテーブルと椅子を運び込み、各々自由に座てもらった。


 一度アルファを紹介してから、アルファにお茶の用意を頼む、クリスタルからだけどな。


 相変わらず、まりゅりゅはうさ子、プルミは猫じゃらしでさくらと遊んでいる。ぺん太はコッコに〈〈遊ばれ〉〉てる。


 お茶を飲みながら昨日皆と別れた後の事を話した。



「俺は攻略一本だったから、そういうクエストはほとんどやってないな」


「やっぱりNPCと交流を持たないと駄目よねぇ」


「詐欺師でもありましたが、NPCとの間に信頼度や親密度がありますね」


「今からでも遅くないじゃん」



 さっきのダイチの様に攻略に重点を置いたプレイヤーはNPCとの関わり合いは少ないだろうな。折角、違う世界に居るのだから楽しまないともったいない。正直、攻略には余り興味が無い。


 話しが攻略報酬の話になったので、拡張オーブの事を聞いてみた。拡張オーブを貰ったのはひなさんとコッコ、プルミで他の二人は違う物だった。



「じゃーん! 卵げっとだよー」



 まりゅりゅはモンスターの卵だった様だね……運営さんどこかで監視しているんじゃないですか?


 ダイチは聖属性が付与された魔法剣だった。


 三人とも拡張オーブの使い方がわからないらしく使ってないそうだ。スカウトのコッコに自分自身に使ってみる様に言う。



「おぉー。まじっ! ここはやっぱりマップじゃん」



 予想通りの展開。馬鹿と鋏は使いよう。誘導された事に気付いてないな。言っときますが悪意は無いぞ。


 効果はマップ上にマーカーが付いたそうだ。パーティーメンバーが青丸印それ以外は半透明の丸印になってるらしい。範囲は自分の感知できる範囲位みたいだが、気配察知等のレベルが上がれば物凄く使い勝手が良くなりそうだと言っている。


 ひなさんに俺は何に使ったのか聞かれたので、この迷宮の機能拡張に使ってミスリルゴーレムとドールを召喚した事を話す。



「アルファさんってモンスターだったの!」



 と驚く場面もあったが、今の所ここがさくらの最終防衛ラインなので、守りを高める為に使う以外考えられないと話す。


 そんな事を言ってたら、プルミがさくらの為に使ってくれと拡張オーブをくれた。お前良い奴だな。さくらペロペロしてやってくれ。ひなさんも少し考えてから拡張オーブを自分に渡してきた。前回のソーマの補填にしてと言っている。



「それだと、ひなさんからだけ貰うのはおかしな話ですよ? みんなで平等に割らないと」


「そうね。これは皆に貸しにしとくわ」



 苦笑いを浮かべ、そう言ってきた。損して得取れだな。


 ひなさんとダイチ、コッコがクリスタルを見たいと言うのでクリスタルの部屋に移動する。



「さくら、またクリスタルに魔力流してくれない?」


「ミャッ! ミュミャ……ミャ~」



 少し葛藤があったみたいだが、やってくれるみたいだ。



「辛いと思ったらすぐ言うんだぞ」


「ミャー」



 さくらを抱っこしてクリスタルに近づき、さくらが前足でクリスタルに触れる。



「ミャミャー」



 魔力を流し始めたようだ。この間より長く触っている。慣れですかね?



「ミャッ! ミャッ!」



 合図がきた。さくらの前足をクリスタルから外すと、ぽんっと音がする。今回は七万も溜まっている。ありがたやぁ。前回程ではないが、だいぶ疲れたみたいだ。アルファにさくらとイチゴを渡してから休ませる様に言った。


 皆にクリスタルの説明をし、さくらばかりに無理はさせられないので、この迷宮に人が集まる様にしたいと伝えた。



「俺達ってダンジョンマスターってやつ」


「悪役っぽくねぇ」


「私達ってどこに進んで行くのかしら……」


「モフモフ王国作ろうー」


「猫王国で良いぞ」



 何か勘違いしてる奴がいる。


 取り敢えず、今後どう進めて行くかを話し合う。


【優雅高妙】はパーティーメンバーを増やし、将来的にはクランの結成まで視野に入れてるそうだ。その為にも王都に行って効率の良い依頼を受け、ハンターギルドのパーティーランクと個人ランクを上げなければならないらしい。


 ハンターギルドに関してはお手伝いはできるが余り役に立つとは思えないので、助っ人が必要な時呼んでくださいとだけ言っておいた。


 王都に行くとしても街道のフィールドボスを倒し、次の街である街道都市ノインスのさらに西が王都になる。ダイチは攻略組だった時は王都に行った事があるそうだ。因みにダイチ達は南の海側の攻略をしていたと言っている。


 王都までは、ゲーム時間で一ヶ月は掛かる道のり。


 残念ながら自分は一緒に行けない。なぜかって? さくらとうさ子がいるからだ。仕事があるので夜しかログインできなので、王都に向かった場合ログインしてない間はさくらとうさ子だけになる。残して行ける訳ないからな。


 という事で、当面は二手に別れる事にした。


【優雅高妙】の皆は王都に、自分はこの辺りでレベル上げと迷宮管理、新規参入プレイヤーの勧誘活動になった。


 新規参入プレイヤーはまだ先の話だが、それ以外でも良いプレイヤーがいれば声を掛けるつもりでいる。でも、なかなか波長の合う人って難しい。さくら達の事を話しても良いとなるとさらに難しくなるな。



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