40 魔王(笑)のメイド

 さくらとうさ子の部屋にダブルベッドを置く。ちなみに、リアルの俺の部屋のベッドもダブルベッドだ。他には絨毯を敷いた。さくらは素足だから、直床だと冷たいかも知れないからな。


 自分がいない間のさくらの食事はどうしようか? 今は果物か干し肉を小さく切って与えてる。うさ子じゃ無理だよな。



「キュ?」



 そういえば、クリスタルでモンスターの召喚もできたな、もう一度確認してみるか。知的なモンスターを召喚して世話をさせるのもありだろう。


 クリスタルの部屋で確認してみるが、目星いモンスターがみあたらない。ゴブリンかコボルト辺りか? でもなぁ、ゴブリンは不潔そうだしコボルトは犬だからさくらと相性悪そうなんだよなぁ。


 オールがアイテムで迷宮のランクが上がるって言ってたよな。それらしいアイテムが一個ある。試しに使ってみるか。


 拡張オーブをクリスタルに近づけてみた。



『迷宮の機能拡張ができます。拡張しますか?』



 おぉー。ビンゴですな。機能を拡張するなら自分にも使えないか、試しにやってみる。



『ストレージの容量拡張及びマップの機能拡張が可能です。どちらを拡張しますか?』



 で、できたね。ストレージの拡張はさくらのキティバックがあるから必要は無いし、拠点も手に入れたから問題無い。マップの機能拡張は興味がある。ですが詳細がない。やってみないとわからないって事か。このゲームこう言うのが多くて不便だな。


 迷宮の機能拡張についても詳細が無いが、こちらの方が色々使えそう気がするので、迷宮にオーブを使う事にする。


『迷宮の機能拡張を始めます。機能拡張にプレイヤーデータ及び魔王(笑)のデータが干渉しました。・・・拡張終了しました。詳細はクリスタル内ログで確認してください』


 ログを確認すると死者の都が少し大きくなり耐久度というものが増えている。他はクリスタルランクが上がってるな。吸収率と最大保有量が増えている。


 期待していた魔力と交換できるアイテムなどが大幅に増えているので、一通り目を通しておく。


 おっ! ネコ缶がある。おぉ! キャットタワーまであるじゃないか。猫砂必要かな? 予想以上だ。優曇華ウドンゲの花だな。


 モンスターも増えているようだ。アンデットは当り前だと思うが、ゴーレム系が充実しているな。


 ミスリルゴーレム 物理、魔法に強く死角なし。一迷宮に一体はお勧め! 今、お買い上げ頂くともれなくアイアンゴーレム二体が付いてきます。奥さん如何ですか?


 ジャパん? ネットの回し者か!? それに、ダンジョンマスターに奥さんって居るのかよ……。でも、良いなぁ。買っちゃおうかなー、アイアンゴーレム付いてくるし。



「おーい。オールちょっと来て」


「……あるじ殿はアンデット使いが荒いのう」


「まぁまぁそう言わずに。これ見て」


「!?」


「これどうよ?」


あるじ殿はなにをしたのかのう? 迷宮ランクが上がっておる。なになにアイアンゴーレムが付いてくるとな! お得じゃのう」


「じゃあ買うか?」


「そうですのべリアルがおった部屋に配置すれば鉄壁ですのう。この値で召喚できるなら他にも配置したいですのう」


「取り敢えずはここの防衛力の向上が目的だから他は後な」


「仕方がないですのう」



 ポチっとな。どこに召喚するかと出てきたので、べリアルの居た部屋を選択する。


 一通りオールにも内容を見てもらった、驚いてたね。必要な値等は問題ないらしい。幾つかミスリルゴーレムの様なお得品があり、交換しろと煩かった。時間が経つと、どうなるか知りたかったので交換しないで検証するつもりだ。



「オール、次来た時にこの迷宮テコ入れするぞ」


「テコ入れとは何をするのかのう?」


「もっと人を呼ぶ様にする」


「どうやってかのう?」


「……それを次に来た時に考える」


「……」



 話がそれたな。もう一体、目星いモンスターがあったのだ。話をそらした訳じゃないぞ。


 ドール いつもお忙し奥様のために食事からお掃除まで何役もこなす、お助けアイテム。これがあれば日頃の家事から解放です。戦闘はできませんのでご注意下さい!


 やはりどこかの通販会社がスポンサーにでもなっていそうだな。さくらの日用品やおもちゃも交換っと、ドールも召喚。ポチっとな。



「ゴ主人サマ、ゴ命令ヲドウゾ」



 目の前に等身大フィギアがある。メイド服だ、何故か猫ミミがついている。こいつを作った奴は同志かもしれない……。


 召喚したドールに荷物を持ってついて来る様に言ってさくら達の部屋に戻り、さくら達にこれからここではドールこいつがみんなの世話をするからと伝える。



「ヨロシクオ願イシマス。オ嬢サマ」



 人見知りのさくらが嫌がるかなと思ったら、ドールの匂いをスンスンと嗅いで、意外にもドールに自分から飛びつき抱っこされてる。抱かれ心地が良いのかご機嫌みたいだ。と思ったらドールが光に包まれる!



『条件をクリアしました。特殊進化します』



 光が収まりドールを見ればあまり変わった様には見えないが。種族名が魔王(笑)のメイドとなりスキルに気配察知、気配遮断、格闘、剣術、暗殺術が増えてる。種族固有スキルに魔眼、メイドの心得とある。言うまでも無く自分より数倍強い……あぁ、無情。



「魔王様におかれましてはご機嫌麗しく。お仕えできること喜ばしい限りでございます」



 言葉が流暢になってるな。それから何故か俺をジッと見ている。俺に惚れたか?



「な、なんだ?」



 ちょっと、相手が美人なだけに動揺したみたいだ。



「名前がなぃ……」



 な、名前ですか? 誰が呼ぶんだ? 俺か?



「アルファで、ど、どうかな?」


「ミャー」


「魔王様がそうおっしゃるなら……」



 き、気にいらないなら自分で付けろや!


 疲れた帰ろう。うさ子とぺん太の頭を撫で、さくらにチュッとしてログアウトした。


 気持ち悪い言うなよ!



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