22 酒飲みクマは知っていた
誰に、話を聞けば昨日の夜の事がわかるだろうか?
先ずは六三亭の女将さんから事情聴取だな。六三亭に着いて女将さんに話を聞いたが話にならなかった。うさ子の毛の色が変わりさらに可愛くなったと店員と二人でモフり始め、更に女性が増え完全に蚊帳の外。
「何やってんだ?」
丁度通りかかったマクモンさんに声を掛けられた。
この人いつ仕事してるんだろう?
駄目もとで昨日の夜の事を聞いてみる。
「なに言ってんだ。一緒に居たろう。ひとの顔見てニタニタ笑ってたろうが」
へっ? そうなの知らなかった。で、その後は? 自分が寝たから帰ったぁ? 薄情者!
「そういや、宿の鍵締めようとした時、ルークが門の方に歩いて行くのを見たなぁ」
オイコラ、てめぇーなぜ? 止めなかった。声ぐらい掛けろや!
「酒は百薬の長、酒は百毒の長。うむ。じゃあな」
じゃあな、じゃねぇよ! なんなの、その俺はやり切ったみたいな顔。何も上手いこと言ってないからな。酒は憂いの玉箒くらいの事言ってから帰りやがれ!
どうやら酔っ払った挙句、自分で墓地に行ったみたいだ。良く生きてたな……。
終わり良ければ総て良し。天道人を殺さず。気にしたら負けだ! きっとそうだ。
さっさと依頼をこなそう。
うさ子行くぞ! いつまでモフラーどもに構っていられないぞ。なんだ! モフラーどもその眼はやるってのか? 上等かかってこいや!
ボコボコにされました……。
御免なさい許してください。そんな本気で殴る事ないでしょう。このゴリラおん……なんちゃって? 痛い! 痛いですから物投げないで!
うさ子を無理やり引き剥がし脱兎のごとく逃げ出した。うさぎだけに……ププッ。
情報がほしいので、餅は餅屋的情報ギルドに来た。
この間の受付のパンティーお姉さんは居ないみたいなので、空いてる受付に行く。
「情報ギルドにようこそ。本日はどの様なご用件でしょうか?」
情報ギルドのお姉さんは、やはり一味違う。雰囲気が違うって事……食べてないぞ。お持ち帰りして食べたいけど……。
過去の戦争等の防衛戦で亡くなった人の情報がほしい事を伝えると、透明な板を渡され名前IDを記載するよう言われたので、記載する。
「ルーク・セブンスランク様ですね。いつもご利用ありがとうございます。情報検索の間に情報料と討伐報酬のお引き渡しを行いたいと思いますが、よろしいですか?」
どうやら情報が売れたらし。それも十件もギルドの手数料を引いた金貨八枚を受け取った。
討伐報酬はPKの討伐とエリアボスの討伐報酬らしい。エリアボス? 身に覚えが無いがくれるというなら貰っておくさ。
Pk討伐報酬は四人分で金貨八枚とガチャチケット十枚だった。エリアボス報酬は金貨五枚、初回撃破報酬でスキル【テイム】とモンスターの卵、単独撃破報酬としてスキル珠を貰った。
スキル【テイム】が被っていると言うと、誰が使っても良いとの事だった。
一気に金持ちになってしまったな。これが現実なら当分寝て過ごすのに残念だ。
先程頼んだ情報が集ったようなので、さらにヨゼフさんを検索してもらう。該当する人が五人程いたが街の墓地に埋葬され、尚且つ若い人は一人だけだったのですぐ調べがついた。
情報料の大銀貨三枚を支払い詳しく情報を確認する。
亡くなったのは五十年も前の事だった。住んでいた所は西地区の平民街、大体の場所をお姉さんが教えてくれたが、十年程前に大規模な区画整理があったらしい。
探してあげたいところではあるが、難しいかな。取り敢えず行ってみよう。
そうそう、Job【祓魔師】の取得条件も情報に載せておこう。ギルドのお姉さんにお礼を言って西地区の平民街に向う。
西地区の平民街は比較的裕福な住民が住んでる場所のようだ。アパート的な建物が少なく一軒家が多く見られる。
とはいえ、この中から五十年も前の人の情報を探すのは無理なんじゃない? 十年一昔って言うのに五回分だぞ。
探したよ……暗くなるまで。歩いている人、お店の方、日向ぼっこしてるおじいちゃんに至るまで。全く成果が無い。
今日は諦めて宿に行こう。
穴熊親父の山小屋に着くと珍しくマクモンさんが受付に居る。
「どーしてマクモンさんがここにいるんです?」
「お前、俺をなんだと思ってるんだ?」
「酒飲みクマ」
「……」
「飲み行きます?」
「行かねぇーよ!」
あら残念。鍵を受け取りすぐに夕食を食べる事を伝えると、時間が時間だけに残り物しかないなと言われたが問題ないと答えて一度部屋に入った。
明日はどうしようか? と考えていたらマクモンさんが夕食ができたと呼びに来た。食堂に行き待ってるとマクモンさんが料理を運んできた。明らかに見ておかしいとわかる量をテーブルに並べていく。
「俺も食う」
だそうだ。うさ子の分の生野菜もあったのでうさ子に渡す。一度鼻をヒクヒクさせ匂いを嗅いでから食べ始める。毒は入ってないと思うぞ、うさ子。
食事をしながら他愛もない話をしていた時、クエストのヨゼフの事を聞いてみた。
「うーん。ヨゼフねぇ? どこかで聞いた事があったような……あっ! 思い出したうちのばーさんが言ってたな。私が若かった頃はモテモテでじーさんとは別に結婚を約束した人がいたって。確かその名前がヨゼフとか言ってたな」
マクモンさんの祖母なら年齢的に合うな。おばーさんが若い頃、西地区に住んでたか聞いたがわからないそうだ。明日、おばーさんを紹介してもらう約束をして部屋に戻り寝た。疲れてたからな。いろんな意味で……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます