13 ギルド
俺ってラッキーと思いつつ、午前中にやる事はまだあるので予定通り進めないとな。
情報ギルドに行ってみよう。噴水広場の西側にあったはずだ。情報ギルドらしき建物は三階建のレンガ造りでモダンなビルだった。
中に入ると受付窓口がずらっと並んでいたので空いている窓口に行ってみた。
「情報ギルドにようこそ。本日はどの様なご用件ですか?」
「情報を売りたいのですが」
「初めてのご利用ですか?」
「はい」
「ご説明は必要ですか?」
「よろしくお願いします」
美人な受付のお姉さんが説明してくれた事は、情報ギルドは完全中立を保っていて例え国家権力でも報酬を得られない限り情報は提供されない。裏を返せば金さえあれば天下に敵なしって事。
情報はギルドが買うのではなく情報提供者が自分で情報に見合った情報料を付け登録し、情報が売れた時に情報料の二割がギルド側に支払われる。一人につき十個の情報を登録できる。
情報は被らなければどんな情報でも良く、ギルド側で情報が被ってないか精査してくれる。私のパンティーの色でも良いのですよ、なんて美人の受付嬢が言うからドキッとしちゃったね。
しかし、そこで問題になるのがその情報が本当の事なのかという事。その為に情報そのもの評価と情報提供者の信頼度というものが設定されている。
情報の評価とはその情報を買った人が義務として後日付けるもので±5で評価され、その情報を買った人数も示される。情報提供者の信頼度とは過去に情報ギルドで売った情報の評価からギルド側で付けるものらしい。
したがって、嘘を登録すれば信頼度が下がり、本当の事を登録しても値段に釣り合わないと評価が下がる仕組みになっている訳だ。
「本日はどの様な情報をご登録なさいますか?」
「Job【詐欺師】の取得条件についてです」
「ご確認致しますのでお待ちください」
自分達のステータスメニュー板と同じ様なものを操作している受付嬢さん姿を見て、パンティーは何色? などと不埒な事を考えてもいると確認が終わったようだ。
「現在、該当する情報はありませんので、此方に情報提供者様のお名前とID情報内容をご記入の上、最後の欄に情報料をご記入ください」
先程操作していた板を此方に渡してきたので取得条件を記入し、注意事項として失敗するとNPCの信頼度が下がる可能性があることを記載した。情報料は受付嬢さんに相談して過去の同じような情報と比較して金貨一枚に決める。
「ご利用ありがとうございました」
次はハンターギルドだな。場所はすぐ近くだった。
ハンターギルドは情報ギルドより大きな建物で五階建てのビルで、裏手に小さめのグランドと体育館の様なものがあるようだ。
建物の中に入ると時間帯のせいかプレイヤーはまばらだったが、多くの視線が此方に集中した。勿論、自分ではなく、うさ子にですけどね。
気にしない振りをして情報ギルドと同じ様に受付らしき所に向かった。
「こんにちわ。可愛いうさちゃんですね。今日はどんなご用件ですか?」
情報ギルドのお姉さんに比べハンターギルドのお姉さんはフレンドリーだな。情報ギルドのお姉さんが悪いと言ってる訳じゃない、あちらはキャリアウーマンって感じであれはあれで良いんだよ。
「ハンターギルドに登録したいのですが?」
「それでは此方に記入してくださいね」
ん、了解。ですがなぜカウンターから此方に来るんですか? 期待しちゃうよ? えっ! うさちゃんの名前? うさ子ですがなにか?
うさ子が捕まった。なぜか他の受付の女性も此方に来ている。目つきが怖いです。うさ子がモフられまくっている。く、悔しくなんかないんだからな。
そして渡された情報ギルドと同じ様な板に記入しようとしたとき、天の声が聞こえてきた。
『ハンターギルドに登録するとJob【旅人】が消滅します。よろしいですか?』
なんですとー! マジっすか……。
そうか…貴方なんですね、貴方なんでしょう。
ハンターになれば依頼を受けられクエストが発生したりする上、金策にもなる。それ以上に重要なのがハンターになるとJob【見習い】を取得して色々な条件をクリアする事により、新たなJobが発生すると【優雅高妙】の皆に聞いていた。
Job【旅人】はレアだ。それも相当レアである。これを失ってもハンターギルドに登録すべきか?
ひなさん達が言ってた事を思い出す。
ヒューマン(普人族)は【魔法使い】に向かない、【勇者】になれない。他にも取得できないJobが幾つかあるらしい。以下を考慮するともしかすると【旅人】は自分にとって最上級Jobかもしれない。
「どうかなされましたか?」
記入せずに考え込んでいるのを見て、先程の受付のお姉さんが声を掛けてきたようだ。
「すいません。また来ます」
どうせ縛りプレイなのだ、どうとでもなれ。泣いてないぞ。泣くもんかぁ!。
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