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リヌクは赤くはれた首筋をしきりに手で引っかいている。



「スライムの体液は、人の肌にかかるとこのように赤くなる。そしてなによりも痒くて痛い」



「蚊にさされたような?」



「いい表現だ。でも、一度経験すれば分かるが、蚊に刺されたほどの症状ではない。服にかかって、そのまま一日放ったらかしにしておくと、肌が溶けてしまう。それくらい強力なものなのだ」



リヌクは、ラバのところに歩いていくと、その荷物から小さい缶を取り出した。



ふたをとると、その缶を自分に向かって何度か振った。



すると、そこから白い粉が煙のように舞い始めた。



「それは何?」と、パドスは尋ねた。



「消炎剤だ。これがないと痒くてたまらん」



リヌクがその缶を振るたびに大量の粉が空気中に放出された。



その粉煙は、辺り一面を覆いつくし、パドスのところまで流れてきた。



パドスの鼻がむずむずしてきた。



「ハッ……ハッ……」

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