連座する鈍色~祓霊師の自傷~

作者 一式鍵

13

5人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

 太古、人は火を手に入れるまで夜を怖れたであろう。それは闇の向こう側にある得体の知れぬ何かを見ているからである。

 作中、人々が再び夜の闇――霊威――に怯えるようになるのも怪奇にして回帰である。

 夜が暗闇を取り戻し、人が恐怖を思い出す。
 朝起きて、夜は伏せる。
 目覚めては生きて、眠るように死ぬ。

 生物として正しいサイクルを取り戻していようとも、皮肉なことに正しさは何も救わないようだ。

 これは、そんな夜の闇に抗う鈍い光。
 オカルティック×ミリタリー。
 鋭い洗練の閃きはなく、ただただ足掻くかのような揺らめき。
 若さには出せない色である。

 コンバートされることで辿り着く結末の先もまた未知、存在の不確かな自分という存在、それでも進む大切な絆と共に世界の夜明けを感じさせてくれる物語であった。