第3部『狂気に包まれて』

第3部 第1話「暗闇の襲撃者③」

1


「さあ、始めましょう? 血塗れの宴パーティーを。」

メイアンは、残酷な目でそう言った。

しかし、この状況。5対1である。

どう考えても、僕たちに勝てるはずがない。

それにしてもなんだ。

この自信が有り余ったような目は。

「な、なに言ってんだ。お前位、俺たちで……。」

「あ、そうそう、忘れてましたよ。」

そう言って彼女は後ろを向き。

「みんな、もう隠れなくていいよ。出てきなさい。」

そんな声を合図にし、僕たちの背後の岩陰から、四つの影が飛び出してきた。

「「「「うん! お姉ちゃん!」」」」

全員、メイアンと似た顔立ちをしていた。

お姉ちゃん……と呼んでいたし、妹たちだろうが。

まあ、今はそんなことなどどうだって良い。

今はただここから逃げることを考えるのみだ。

「あ、逃げるだなんて考えたら、ここ爆発させますから。」

……まずは戦う必要があるようだ。


2


「アハハハハ♪ あなたたち全員、私たち家族がぶち殺してあげますよ!」

メイアンは皮肉な笑みを見せながらそう言った。

「そうだ。戦うついでに、私たち、影魔族の歴史をお教えしますね♪」

メイアンがそう言い、四人の妹たちと共に、僕たちに向かって勢い良く走り出した。

彼女らの持っている武器は、魔族なのにも関わらず、毒々しい紫の色を纏った杖ではなく、清々しい緑色の剣だった。

そしてメイアンは、希里花さんに向かって跳ね……!

「希里花さん!」

黒煙纏いし炎の風ダークフレイム・ヴィントストーム!」

間一髪で希里花さんがその攻撃を止め、跳ね返した。

「……うぐっ! あああああ!」

メイアンが呻き声を上げ、衝撃に耐えている。

ちょうど良い。この内に……

「よそ見してるとォ~。危ないよォ♪」

そんな声が横から聞こえ、僕はあわてて剣を構えた。

否。

「か……ハッ!?」

「キャハハッ♪せっかく忠告したのにぃ♪ 私は跳んで攻撃するとは一言も言ってないよォ♪ ちゃんと前見なきゃア♪ でも死なないでよかったね?わざわざ柄でやってやった私に感謝しなよ♪」

感謝なんて、するわけねえだろうが。

「……! 加賀谷くん! ちょっと待ってて。黒煙纏いし炎の風ダークフレイム・ヴィントストーム!」

「チ……ッツ!」

「ありがとうございます。希里花さん。」

僕は希里花さんにそう言った。

「いいのよ。それくらい。……それにしても、この状況、どうにかしなきゃいけないわね。」

「そうですね。」

突然の戦闘イベント。

準備してなかったのは言うまでもない。

「……とりあえず、一旦避難しましょ。みんな!私が今から魔法を撃つから、その隙にみんな逃げて!」

「分かりました!」

僕はそう答えた。

「はい。」

「うん!」

「分かったわ!」

続いて、イリシア、グリネア、結衣奈の順に返事を返す。

そして。

「……“フラッシュ”!」

希里花さんがそう言うと、辺りは眩しい光に包まれた。

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