第3部 第3話「脱出」
前回。
メイアンたち一家、とりあえず気絶させました。(?)
1
僕は彼女の話を聞いていられなくなり、まず妹たち、そしてメイアンを、峰で叩いた。
そして、メイアンの身体が倒れるのを、腕で防ぎ、下に置いた。
「……は……そう……き……よ」
何か、掠れた声が聞こえ、振り向く。
「ま……まだ……、私は……っ! ガはッ!」
メイアンが何かを訴え、吐血した。
「おい、大丈夫かよ……」
僕はそう声を掛けた。
「うる……さいですね……! あなたに同……情なんか……、されたくないんですよ!」
悶え悶えにそう言うメイアンを見て、さらに僕は心配する。
「まあ……、どうせ、この建物、あと30秒位で爆発しますけど。」
「は!?」
「私たちも、そうですが、ここに、いる全員、バーン! ですよ。バーン。さあ、爆発する前に、みんな出られますかね? へへ……。」
そんな事を言って、メイアンは目を閉じた。
それにしても、爆発……か。
早く逃げなければ。
しかし、僕たちだけが逃げれば、メイアンたちはどうなるのだろう。
そんな考えが頭を横切る。
……。
「……希里花さん、結衣奈はこっちに。イリシア、それとグリネア。二人は先に外に。」
「うん。」
希里花さん、結衣奈がこちらに来た。
イリシアは悟ったように、グリネアと一緒に出て行った。
「希里花さん。結衣花。これがたぶん、今日最後の仕事。僕はメイアン、それと、その妹二人を抱える。残った二人はそれぞれで抱えてくれ。」
僕は、希里花さんと結衣奈にそう言った。
まず、メイアンを背中に乗せ、次にその両脇にその妹二人を抱える。
希里花さん、結衣奈もそれぞれ一人ずつ脇に抱える。二人を前に行かせ、そのあとに付いていくように出口へと向かう。
そして、出口から出て、数秒が経った時。
「ドッカーン!!」
建物は爆ぜ、メラメラと炎を上げた。
2
……で。
脱出してきた訳だが……、宿にて。
「……こいつら、どうしよう。」
横たわるメイアンと、同じく横たわるその妹たちを見て、僕はそう言った。
「とりあえず、明日説得しましょう。」
「……そ、そうだな。」
「でも……、寝てる間はどうしよう。起きても困るし……。」
「ああ。それなら……。」
「これやっときゃ良いだろ。」
僕はそう言って、ロープと手錠……すなわち拘束道具を取り出した。
「な、何に使うつもりだったのよ……、それ……。」
希里花さんが引き気味でそう言ってくる。
「いや、朝に忘れ物はないかと思って、最後にイリシアの部屋に確認しに行ったら落ちてたんだよ、」
「どういうことよ……。」
今度はイリシアに引いたようだ。
まあ、そんなことはさておき。
「縛ったのはいいけど、こいつらどこに置く?」
「あ、それは私の部屋で。」
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