糸遊。
無邪気でいられたあのころが揺らめいて
澄み渡った空は幻に少しずつ包まれる
いまこの瞬間が仮初の刹那なのだとしても
確かに存在するのだと思える現状から
記憶が逆再生されてゆく感覚を覚えたら
それはひとつの糸遊になるのかもしれない
なにを意味するのかがわからない記憶は
奔流のように弾けてはヴィジョンを灯して
僕に本当の世界の姿を伝えようとする
でもおそらくそれらはすべて違っていて
真実はそこにはないのだろうと思わされる
答えははっきりとはわかりはしないけれど
たとえば君が映った過去があったとしても
それは単純に君がいたことを灯すだけ
そこから辿れる答えはまだ幻の中にあって
結局の所はなにひとつとしてわからない
すべては糸遊の見せている幻影なのか
そんなことさえも僕にはわからないのだ
友情や勇気といった大切な感情さえも
一瞬しか灯らなければ意味は成さないから
その炎をきちんと燃え上がらせる芯が要る
幻影のようにゆらゆら揺れるだけでは
求めるべきものなんて見えやしないから
せめてこの揺らめきだけでも止めばいい
同じ空を見ているかもしれない君のもとへ
僕の見ている空という風景が映り込めば
ようやく思い出は繋がりだすのだろうか
ともに生きてともに歩み笑いあった日々が
すべては糸遊にすぎなかったことを否定し
たったひとつだけの誠になりはしないのか
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