5ー5

 ザックとビンズは、もうすぐ湖畔の森を抜ける所へと進んでいた。

 いい写真は撮れた。

 湖で出会った少年も、荒らしから戻れるだろう。

 今日のところは思い残す事はなにもない。

 隣のビンズを除いては……


「決めた。オレはあんたを目指すぜ」

「い、いきなり何ですか?」


 ビンズの目は本気だった。

 先ほどの戦いに、すっかり触発されたらしい。


「オレはもう一度鍛え直すぜ。そしていつかあんたを越す」


 高々と弾んだ声と、真っ直ぐに伸びた指がザックを指す。


「……どうせ目指すなら、こっちの方にして下さい」


 ザックは一眼レフカメラを指差した。

 そのレンズは、不思議そうにカメラを見つめるビンズの姿を映していた――

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