第15話 装備を調えるのです。
丹澤慶子のワンボックスカーに乗って一同は那須塩原市の隣街てある大田原市にやって来た。市の中心部から少し離れた田んぼや畑がちらほら見られる所に目的のダンジョンはある。
「はい。到着~。必要な物だけ持って降りて。」
降りると丹澤慶子はダンジョンの隣にある酒屋に入って行く。また飲むのか?
「みんな何してるの?行くわよ。」
「先生。酒屋に何の用ですか?ダンジョン行きましょうよ。」
堪らずハンクスが声をかける。
「何言ってるの。受付よ受付。前もしたでしょ?前回は市営のダンジョンだったけど、ここは個人の敷地のダンジョンだからね。」
なるほどと一同酒屋に入る。店内には日本酒を中心にあらゆる種類の酒とおつまみが並んでいた。
「へ~。さきイカだけでもこんなに種類があるんだ…。え?これ、さきイカなのに1000円もするの?高!高!!」
タマがさきイカの多様性にテンションが上がっている。
「タマ君さきイカ好きなの?」
フェミちゃんがオシャレなカクテルを眺めながら聞いた。
「いや。別に…。」
「………。」
店の奥からおじいさんが出てきた。丹澤慶子が挨拶を交わす。
「いや~。ナッパラ高校のダンジョン部の子たちだっぺか。俺の〆¶§Åも☆Ω∨なんだけど仝ゞゐφμψζだべな。」
ほとんど聞き取れない…。地方の年配者あるあるだ。地元の若者でも聞き取れない訛りが栃木には存在する!!
「今日はお世話になります。さぁ、みんな受付と支払いしちゃって。」
「いやいや。高校生から金受けとるなんて◇@*Ξ。いいからΔヴΒΘΜδして@◇£≦¥£な。」
言葉の意味はよく分からんが、どうやらお金は払わなくて良いらしい。
「いえ。そういうワケには…。」
「いいから、いいから。」
軽い押し問答の末、結局タダで入れる事になった。一同礼を言い受付を済ました。
「先生。あの訛り聞き取れたんですか?」
ダンジョンに向かいながらタマは聞いた。
「ほとんど分からなかったわ。」
「その割りには会話になってましたね。」
「雰囲気で察するのよ。大人になるとそういうことが出来るようになるのよ。」
因みに作者は出来ない。たまにマジで聞き取れないのよ。そんな時は、「アハハ…」って愛想笑いすることにしている。
酒屋のダンジョンも前回同様地下タイプだった。1つ違うのは壁や床が白い石で出来ているところだろうか。そのせいで中は幾分明るく感じられる。
「さぁ、ショップで装備を買ってみましょうか。もちろん今のままで良いと思ったり、お金を貯めてもっと高い装備を買いたかったら無理に買う事はないわよ。まずは…フェミちゃんから。」
フェミちゃんが石像に触れる。
「うわ~。本当に頭の中で声が聞こえる。え~と…じゃあ、へヴィアーマーとロングランスで!!えっ?色も決められるんですか?」
「ええ、変えられない物もあるけどね。」
「う~ん…。じゃあ、両方ピンクで!!」
買い物している女子の様に楽しそうだ。あっ、買い物している女子か…。買ったのが鎧と槍だけどね。
フェミちゃんの身体が輝き今までよりゴツい鎧と身長の倍近い槍の姿で現れた。色は薄めのピンク…桜色だ。
「わ~可愛い!」
鎧と槍は可愛いくないと思う…と男共は思った。
「良い買い物だったわね。次はハンクス君よ。」
ハンクスが石像に触れる。
「おおう!!聞こえる。怖!!」
ジョンくんみたいな事言うな。
「え~と…。じゃあ僕はイエローローブと樫の杖にしよ~。えっ?イエローローブ色変えられるの?イエローなのに?」
プチパニックだ。結局色は変えないでハンクスの装備変更は終わった。
「はい。次メガネ君。」
メガネが石像に触れる。
「僕は…もっと貯めてから…いや、武器だけブロードソードにしようかな。色は変えない。」
真面目かつ地味である。それが、メガネがメガネたる所以であろう。
「さぁ、タマ君よ。どんな装備があるか私も知らないから教えて。」
丹澤慶子がタマに興味を持つとは…雨が…いや雪でも降るのか?5月に。
「ついにこの棒と別れる時がきたんだな…。今まで世話になったな…棒…。」
いや、マンティコア戦以外は主にツンツンしたり落書きしたりしかしてないだろう。
タマが石像に触れる。
「さ~て、何があるかな~。ん?」
「どうしたのタマちゃん?」
「タマ君?」
「………。」
「お~い。」
「武器、ちょっと長いヒノキの棒、まあまあ長いヒノキの棒、長いヒノキの棒、凄く長いヒノキの棒、必要以上に長過ぎるヒノキの棒…。」
「………。」
「防具、長袖の布の服、ちょっと良い布の服、通気性の良い布の服、スケスケ布の服…。」
「………。」
「なんじゃこりゃーー!!こうなったら必要以上に長過ぎるヒノキの棒とスケスケ布の服にしてやる!!」
「早まらないでタマ君!!」
フェミちゃんが叫ぶ。
「止めろ!!タマちゃん!!」
ハンクスが止める。
「タマ君!!どこがスケスケか分からないぞ!!」
メガネが下半身の心配をする。
「うるさ~い!!やると言ったらやるんだ!!…へぶしっ!!」
丹澤慶子が物理的に止めた。
「ただでさえ謎の職業なんだから無難なヤツにしときなさい。」
「ふあ~い。じゃあ、長いヒノキの棒とちょっと良い布の服にしときますよ。え~と色は緑にしようかな。」
タマが光に包まれる。
「!!」
「!!」
「!!」
「!!」
「ん?どうしたみんな?」
「タマ君…あなた…色が…。」
「色?キレイな緑色の布の…あれ?」
服は地味なクリーム色のままだ。
「おかしいな…。確かに緑に設定したはずなんだけど…って、なんじゃこりゃ!!」
緑になったのは服ではなくタマ自身であった。○ュ○ッ○みたいだ。
「気持ち悪!!戻す戻す!!」
「タマ君…残念なお知らせよ。同じ装備の間は変更は出来ないわ。今日のところはそれで行くわよ。」
「でもタマ君。色はともかく武器が長くなったのは戦いには向いたんじゃない?攻撃力も格段とアップしたでしょ。」
フェミちゃん…あんた部長らしいよ…。
「後、レベルがクラスアップすれば買える装備も増えるからそれに期待しましょう。」
不憫に思ったのか丹澤慶子も優しい。
「もうこの運命を受け入れてやるさ!。やってやろうじゃないか!!」
前向きだなタマ!!頑張れタマ!!なんせお前は世界5人目のマーベリックなのだ!!
ゆけ~ゆけ~第5ダンジョ~ン部~!!
意外と残るなこの曲……。つづく!!
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