描写は重ね掛けでお願い①

 ではそろそろ実践にね、何度も書いては横道へ逸れてきましたが、ほんとにそろそろ実践に行きたいと思います。


 起承転結とか序破急とか言いますが、便宜ですんでこれに当て嵌めようとか考えないのがヨロシイ。私的には起承転結よりも四コマ漫画を作る方がよほど具体的にしっかりしたモンが作れると思っとります。慣れるとそれも面倒で箇条書きしてるけど。


 ピン!と閃けば、後は勝手に脳内で映画上映開始するようになるんで、慣れですよ、慣れ。創作活動は慣れです。キャラだのアイデアだのストーリーだのは勝手に湧き出てくるようになります。


 早いことそうなりたいなら、ルーティンワークを作って癖付けてしまうのも手かと思います。特に執筆時間は癖にしてしまうと後々違ってきます。ええ。orz


 誰だったか、大家の作家先生が仰ってましたが、まず机を前に座る癖を付けたそうです。書けようが書けまいが関係なく、とにかく座ってペンを持ち、一行でも三行でも書けるまではそこから離れない、と。他のことをしない、という事で無理やり執筆を継続したと仰っていましたんで、大家でもそうなのだから、筆を置いたらそのまま折るまではスムーズなのだ、と思っておいた方がいいでしょう。人それぞれ継続の秘訣も違いますけどね。


 さて、キャラと差別化用アイデアとストーリー、これさえ用意出来てしまえばすぐに書き出せばいいんです。テンプレでも王道でも何でもいいですが、ラノベ系は本分でないんで文芸系の方だけで話を続けていきます。ごっちゃにしたら命取りだったりもするんで、そこは注意して読んでください。


 まず、昨今の読者が嫌う要素を挙げていきます。


 一、冗長な描写で描かれる話。


 いやぁ、さっそく文芸の主題である描写が嫌われてしまいましたが!(笑


 先に書いたおさらいですが、嫌われる描写とは「描写する為だけに書かれた描写文」のことですので、そうでなけりゃいいんですわ。親切のつもりで、その舞台の風景を書くとしましょう、こういう場所が舞台になりますよー、て。それが必要なのは、実際にその舞台装置の絵を描かなきゃいけない画家さんだけですから。それか、そもそもで描写文というものが好きな読者さんか。ニッチ狙いになっちゃいます。


 読者は、何が起きるのかがまず知りたいので、それに関連した情報にすべて絡めていきます。恋愛モノならとにかく誰と誰がフォーリンラブするのかが知りたい、主人公とお相手が第一でしょうから、主人公がどんな性格なのかを知らせるついでで舞台はこんなんですよ、と描写を使うわけです。


 学園での恋愛だとしましょう、私立〇〇学園、この6文字程度をウザいと思う読者はさすがに居ないのですが、ここからダラダラと設立エピソードやら校風やら書いて、それが二人の恋路になんか直接で影を落とすでしょうか、と考えなきゃいけない。ちょっとだけ関係あるから書いてるってのが大半です、例えば女子高だとか、最近共学になって男子少ないとか。

 一行に満たない「最近共学になって男子が少ない、モテモテ~」てのを伝えたいだけで何十行を書くということです。それを読む側が冗長と捉えるのは当然でしょう。


 ここは、例えば一人称ならば、余分である校風だの規則だの、共学になったエピソードだのを面白おかしく、語り手である主人公の性格を滲ませた「個人的見解」たっぷりな描写で、校風や規則、エピソードの披露に被せて、主人公のデビューも兼ねてしまえばいい、ということです。

 読者は、主人公のモノの見方、性格、舞台である学園の特徴を同時に入手できます。書く側は、これらを一つずつ片付けていくというやり方ではもう昨今の読者は読んでくれないのだとキモに銘じておかねばなりません。


 さて、冒頭で気張って描写を頑張りました。一度に幾つもの情報を重ね掛けで描写するという手法で、読者の興味を引く工夫を凝らしました。


 今後も、これを継続しなければ読者は興醒めですから、お気をつけください。


 つまりですね、描写を選んだ作者に待ち受ける本当の試練とは、この「描写は重ね掛けでお願いします、」なわけです。情報の重ね掛け。読者は冒頭を読んだ段階で、ああ、こういう感じで進むのね、という了解を持ってしまいますんで、これで最後まで通さねば詐欺ですからね。

 これが大変だっていうのは、実際にやってみれば解かります。説明不要。

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