視点は二方向から② 三人称注意点

 三人称は客観視点です。語り手は物語に登場しない何者かです。その立場はざっくり分けて二種類です。


「誰かの背後に立ち、憑依した状態で地の文を書く視点主(地)」

「上空に居て、全体を把握している視点主(天)」


 これ、場面転換の多寡やカメラワークの機動力によって使い分けられます。下のは特に戦記ものなどではお馴染みです。多くの人間がころころと入れ替わり立ち代りで登場する物語に向きます。


 かつては()で心理を区別して書くという事はほとんどなかったんですね。今でこそ見慣れているでしょうが、昔の人からしたら()は数学の記号で、小説内に出てくるなんてのは甚だしい違和感でしかなかったので。


 逆に()や「」や『』やと、記号が混ざるのは「読みにくかった」んです。


 昔の書き方教本には割と、記号をガチャガチャ出すと読み辛いと書かれています。なので、使用される記号は「」くらいでした。時代によって大衆の慣れも代わりますので、現代では()も『』も気にせず使っていいんですが。(未だ影響はあり、()やらを多用するのは技術が低いとの判断にされたりはあります)


 視点主(地)と(天)の違いは、近くから観察するか遠くから観察するかの差です。距離においての違和感に注意しなければなりません。

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