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 夏は風に乗り空を舞う。とても美しい風。どこから吹いてくるのかな? この風は誰が起こしているんだろう? 神様かな? そうだったらいいな。(本当にそうだったらいいな)大きな口から息を吐いて風を起こす。そんな神話を夏は思い出した。

 自然な風。本物の風。(夢の中の風だけど)だけどなんとなく物足りない。夏は以外とあの白い風車の起こす偽物の風が気に入っていたんだと、今改めて気がついた。(偽物だからなんだというのだ。偽物だって風は気持ちいいのだ)不謹慎極まりない。でもなんだかとても楽しい。神様ごめんなさい。どうやら私も偽物だったみたいです。夏は風の吹いている場所に向かって、(口だけを動かして)そう言った。声には出していないけど、神様にならきっと私の声は届くだろう。だから心配はないのである。

 強い風が吹いている。きっとここは(空の中でも)とても高度が高い場所なのだろう。風は相変わらずとても気持ちがいい。

 この風に乗っていこう。どこまでも、身を任せよう。そう夏は思う。夏は量膝を抱きかかえて丸くなる。丸くなるのは夏の得意技だ。(だからすごくいい丸に夏はなった。本当にすごくいい丸だ)

 なんだかいつもよりもうまく丸くなれた気がする。空には夏が丸くなることを邪魔するものはなにもない。それが理由だと思われる。

 浮いている。空の中に浮かんでいる。なんて軽いんだろう。私の体はとても軽い。それは私の命の軽さ。存在の軽さだ。私はちっぽけな人間なんだ。背も低いし、(女の子にしては高いけど)体重も軽い。(本当だよ)

 質量なんてこれっぽっちだ。夏は自分の指でこれっぽっちの隙間を作る。命が重いなんて絶対嘘だ。だってもしそうだったら空が飛べなくなっちゃうじゃん。天国に行けなくなっちゃうじゃん。命は軽いほうがいい。少しでも軽量化して、なるべく高く、遠くまで飛べるように準備をしておいたほうがいいんだ。(そうだよね? 遥)

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